滅びゆくものの隣で

翼をもつ白蛇は今まさに狩られようとしていた。神々が既に見捨てた世界、滅びゆく人間たちのせめてもの抵抗として、神獣狩りという運動があったのだった。
しかし、神獣にも心があった。その心に寄り添おうという人たちもいた。片翼の少女は神獣狩りの現場を目撃し、思わず救いの手を差し伸べる。それが、この物語の主人公であるカナイと白夜の出会いだ。
二人には、不思議な共通点がある。それは、ともに記憶喪失であるということ。

ひとは何故、生きたいと願うのだろうか。
ひとは何故、誰かを救いたいと思うのだろうか。
誰かに迫害されたことがあるからだろうか。それとも誰かに救われたことがあるからだろうか。それとも、ただ、誰かの隣にいたいと感じるからだろうか。
記憶は正義を要請し、正義は裁きを要請する。逆に、忘却は愛を希求し、愛は赦しを希求する。
この物語の果てに彼女たちが何を感じ、何を思い出すのかは、ぜひあなたに見守っていてもらいたい。

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