第4話 海上線
電車の振動で目が覚めた。いつの間にか寝てしまっていたようだ。僕は電車のロングシートにりょうさんと座っていた。
車窓からは海がきれいに見える。夕暮れのピンクとも紫ともとれる不思議な色の空と、海。隣のりょうさんもすもものような色に染まっている。
「すいません、肩の上で寝ちゃって...重かったですか」
すももカラーのりょうさんが優しく微笑んで首を振る。
「いや、全然?それより外見てみ」
「そうですね、すっごくきれいな海です」
「じゃなくて」
「空もいい色ですね」
「この電車、海の上走ってるで」
「またまた~、僕が寝ぼけてると思ってそんなこと言って......ひぇ~マジか......」
車窓から下を覗くと、確かに海の上に線路が敷かれていた。しかも線路の下は柱や埋め立てた道もない、正真正銘の海水のようだった。見渡す限り広がる海の上を走る電車。どういう理屈かわからないが、とにかく電車は走っている。減速する気配もない。
果たして僕たちはここから出られるのだろうか。そんなことを考えていると、再び眠気がやってきた。眠気を飛ばすためにりょうさんに話しかける。
「りょうさんは寝ないんですか?」
「だって二人で寝てる間にどっかに到着したら困るやろ?」
「僕起きてるんで今度はりょうさんが寝て下さい」
「それ二人とも寝るやつやん、俺別に眠くないし......寝れるときに寝とき。あれやったら俺の膝貸したげるで」
りょうさんがぽん、と膝を叩く。
「気持ちだけ受け取っときますね」
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