パズルが全て揃う瞬間のような

不意に涙が流れるような、綺麗な出会いの話でした。

報われなさそうな人が報われる話が好きです。救われなさそうな人が救われる話が好きです。それも、積み重ねの先に目指したところにたどり着くわけというではなく、どこか唐突に現れる報いや救いの話が。

そういうわけで、とても好きな話でした。

また、書きたいこととテクニックがうまく噛み合っている印象も受けました。導入部が特にそうなんですが、単なる説明になってしまうのではなく、印象的なビジュアルとキャラ紹介と背景説明が無理なく溶け込んでいる。また、固有名詞を象徴的な単語とルビで飲み込ませるのも、読者に負担があまりかからなくて良い。宝石や色彩のモチーフがある種の王道のファンタジー感の演出としても上手く嵌っていたように思います。文字数の制約がなければもう少し最期が綺麗に「膨らんで」いたのではないかという印象はあるのですが、総じてリーダビリティが高く、満足感のある作品でした。

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