奏でるような文章、ふとした息苦しさ

美しく流れる音楽の如き文章には、作者のこだわりを感じる。
囲碁や音楽を織り交ぜながら描かれていく青年2人の姿は、社会の中にいながらも、どこかズレてしまっている。
美しい文章で描かれているのに、その内容は苦しみや葛藤、ごく当たり前に抱きそうであり、そうでもないようであり、現実というものを鼻先にぶら下げられているような気持ちにもなる。
彼らの息苦しささえ感じさせる細やかな描写は、最早芸術と言っても過言ではないかもしれない。
ぜひとも読んでいただきたい一作である。

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