美しき女王の微笑みが観る者をいざなう。時を超えた名画の世界へ――

エル国立美術館に飾られた名画『時の女王―カーミュ・デ・コーメニ』の前に、深夜あらわれる少女の霊が、観たものを石にしてしまう。という噂が流れた。
偉大なる女王の死から三百年が経過したマスハの街に、シャクヤとクランデーロとイネイを伴い、アスコラクがやってきた。
名画の前に佇み、シャクヤは思う。「私は、この絵に会うためにここまでやってきた」のだと。けれども、今回のアスコラクの標的は――

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「首狩り天使アスコラク」のシリーズ三作目です。前作『アスコラクー聖痕の娼婦』の続編にあたりますが、この作品単体でも理解できるように書かれています。
前作をお読みになった方は不思議に思われるでしょう。何故、アスコラクの標的が◯◯◯◯なのか? 美術館で起きる事件とともに、ミステリー調の展開に引き込まれます。
クランデーロとリョート、イネイとアスコラク、ジェイコとアブマンの関係にも注目です。

端正な切れのよい文体でつづられるダークファンタジー。ご堪能下さい。

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