なんとも力強い武の道を駆けてゆく青春賛歌

どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションか分かりませんが、そんなことはどうでもいいくらい気持ちのいい作品です。

物語全体を通して、とにもかくにも苦難と挫折ばかりが続いていくのですが、武の道を通して力強く生きていく主人公「南郷」の心持ちの素晴らしいこと!
また大東流合気柔術、意拳、柔道など、さまざまな武術を習う中で出会う漢たちのなんとも個性的なこと。
そんな彼らとともに修行を続けて行く中で、大いに成長してゆく主人公のなんともたくましいこと。

そして時折ふとのぞく恥ずかしい心根なんかもさらけ出していく清々しさは、まさに文学そのものだと感じました。

これは作者の魂のこもった素晴らしい作品だと思います。
これまではコメディー色の強い作品を発表してきた作者の、まさに必殺の一手と呼べるような圧倒的な厚みと迫力があります。
その心の叫びにも似た熱い思いは読む人の胸を打つに違いありません。

ですがさらにすごいのは、この作品がそんな熱いモノを抱えながらも、とにかく軽やかで面白いことなんです。
男性だけでなく、おそらく女性読者も多いと思います。
つまり誰もが楽しめる作品になっているところが凄いのです。

と、少々熱く語りましたが、とにかく楽しんで読んでもらいたい作品です。
連載中ですので、ぜひ読んでみてください!

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