概要
公差を外れたのは、私のせいだけじゃない。
町工場の跡取りである清太と母子家庭で育ち機械加工会社に勤める私。兄妹のように睦まじかった幼なじみ同士だが、徐々にはめあいが悪くなる。
実家からの引越しを前に、私は清太を呼び出すが――こじらせ系大人の純不純文学。
実家からの引越しを前に、私は清太を呼び出すが――こじらせ系大人の純不純文学。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!かつては手に入ると思っていた、ぴたりと合う「性」
作者さんの「決して時間の無駄はさせません」の心意気に最初はびっくり。おおー、ここまで書いてしまうか、すげー、と。
そして結論から言うと、作者さんの言うとおり。この作品を読んだことは決して時間の無駄ではなかった。読了後、「何かを読んだ」という確かな感触があった。
実のところその感触は、いつでも得られるようなものではない。
流れるような文章。だが確かに独自のリズムがある……そして、粘り気がある。
冒頭しばらくの流れに、面食らう読者もいるだろう。特定業種にまあまあ特化した話題や会話が続く。もちろん素人を追い払うような文章ではないのだが、ウェブ小説によく見られるアプローチではない(と、思う。自…続きを読む - ★★★ Excellent!!!こりゃ敵わないわ……
この物語を読んでいて、最初に思い付いた感情は、純粋な嫉妬でした。
男女の恋愛には秘め事が多い。
一人は、大手で大量な仕事をこなすサラリーマン。片やお世辞にも大きなとは言えない町工場の次期社長。
そんな2人にも秘密はありました。
夜の静けさが似合う。または、過ちを犯しやすい陰鬱な昼下がりも似合う。
そんな雰囲気の物語の中で、キャラクタたちはちゃんと生きていて、喜び、苦しみ、哀しんでいました。
日常の中の非日常ではなく、非日常の中の日常。短編にまとめられた非日常の中で、作者様が切り取った、日常でした。
その切り取りかた、描きかたが、すべてが素晴らしい。冒頭でも述べた通り、素直に嫉妬しちゃいま…続きを読む