作者様が見た夢を元にした、月に関係する不思議なお話たちです。
途中で夢を元にしたお話だということを忘れて、やさしい童話か幻想文学を読んでいるような気持ちになりました。
使われる言葉が綺麗で、文章も美しいからでしょうか。物語の世界に自然と入って行けます。
夢を元にした物語ということで、私もまず『夢十夜』を思い出しましたし、月の語るやさしくて幻想的なお話ということで『絵のない絵本』を思い浮かべました。
夢のお話といっても物語性が高く、全体的にやわらかで幻想的な雰囲気をまとっているのが特徴です。
子どもから大人まで広く楽しめる作品集ではないでしょうか。
語りかけてくる月、盗まれた月、孤独なロボット、月を食べた狼、月を思わせる不思議な女性……やさしくて不思議で少し切ないお話たちです。
ゆったりとした夜にこのお話を読んで、ふと見上げた窓に月の姿があったりしたなら、特別な気持ちになれそうです。