キャラクターではなく人、記号ではなく人格が描かれています

(第八話まで読了しました)

 一人称で綴られる物語を好まない私なのですが、この物語は覆してくれました。

 堕落した生活を送る主人公ならば、少なからず自己弁護、自己正当化があるのですが、この物語にはそれらがなく、自身の「今」が描かれてします。彼氏と別れたらしい事、投げ遣りな生活を送っているのは、それに起因しているらしい事、待ちで出会った女性との出会いも偶然であるらしい事…。

 この「らしい事」としか私がいえないくらい、過去をぼやかし、今の生活を鮮明に書いている点に面白さがあります。

 ある種、淡々と書かれている中からこそ、書かれていない点に想像力が働きます。脳内での補完が行われ、先の展開が違った時の驚きに新鮮な面白さがあると感じました。

 それだからこそ、ここに書かれているのは「キャラクター」ではなく「登場人物」であり、様々な要素は記号化された要素ではなく「人格」と表現するのが相応しいです。

 今、八話まで読みましたが、作中では春が終わり、夏が来る頃でしょうか? タイトルの通り、冬までの物語を是非とも追い掛けたいです。