“愛”は皆を翻弄し、そして1つの結末に収束する。

圧倒的な読了後の満足感とそこから追って来るように感じる切なさ。
ラストのあのシーンが、あの言葉が頭から離れない。

本作は、最初から最後まで1つのテーマを貫いているので、下手なことを言うとすぐにネタバレになってしまう。
簡単にあらすじを口に出したくない。この話を簡潔にまとめたくない。
読めばわかる、そう言いたい。本当にそう。じっくり、一つ一つの言葉を拾うようにして読めば、皆そう思う。

丁寧に細部まで書き込んだ、“僕”の心情描写、葛藤。日常会話でわかる、カスミの心情、葛藤。
それらを全て拾って、一つの決断に辿りつく。その決断が非常に見えても、美しい。溢れんばかりの“愛”とその“愛”に応える行動。
ある意味で、ハッピーエンド。絶対的なハッピーエンド。

短編だからこそ成り立った作品だと思う。

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