確かにあった命を乗せて、銀河鉄道は還らぬ地へと進んでいく

衝撃的な一文から始まる、ひどく静かな物語。
彼女と、生まれたばかりの赤ん坊は、列車に乗って『洗礼所』へと向かう。
暗闇ばかりの国。
唯一の拠り所である、愛しい命。
たどり着いた先にいる、黒服の人物。

いったい、ここは何処なのだろうか。
疑念とともに読み進め――やがてあぁ、と腑に落ちる。そういうことだったのか、と。
彼女の、殴打される心に寄り添いながら。

とにかく彼女の心情描写が凄まじく、だからこそ痛ましい。描かれていない背景の細部にまで想像を膨らませさせる、そんな作品。

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