人生の到達点

前半部の祖父と孫の温かなシーンと衝撃のラストシーンの落差に震えました。
物語の魅せ方、構造が素晴らしかったです。

人によっては受け入れ難い、やるせない気持ちになるかと思います。

時代を経れば常識は変わっていきます。街の風景も、人の生き方さえも変えてしまうでしょう。

本作に無常感を感じつつ、どんな未来であっても自分の人生を歩いていった登場人物たちに拍手を送りたいです。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（39文字）

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（482文字）

文字数に反比例するようにずどんと重い。

自分の、今の常識では到底受け入れがたい真実でした。
しかし、ありそうな未来だなとも感じます。

自分が、おじいさんの立場だったら、孫の立場だったらと考えてしまう話です。

　医療用ナノロボットが普及し日本人の平均寿命が八十八歳になった近未来。主人公は祖父の米寿の祝いに合わせて、以前から祖父が登りたがっていた霊峰への登山のお供をすることに。老人であるにもかかわらず祖父は軽々と山を登っていくのだが……。

　現実の社会問題を思いもよらぬ手法で解決するというのはSF小説でよく見られる手法だが、本作でも高齢化社会に対する一つの解答を見せてくれる。

　この作品の見どころは何といっても中盤のある場面！　祖父と孫の暖かな交流から、いきなり切れ味の鋭い展開が飛び出して読者の意表をついて来る。そしてラストで感傷的な気持ちになっている主人公とは裏腹に作中の描写は非常にドライなも…続きを読む

…だと怖いなぁとしみじみ思います。
あらすじを読んで心打つヒューマンドラマかと思いきや心を抉られます。設定の巧みさに感銘を受けました。
記念すべき米寿の登山、ぜひ結末を見届けてください。

祖父の米寿のお祝いに登山に付き添う孫の物語です。
祖父の力強い様子を見ながら共に山に登っていく主人公。
そのラストを、是非あなたの目で見てください。

とても良いSF作品でした。
短編で、ここまで心に訴えかけ、情景が浮かび、感動する作品もそうありません。
そしてKAC20225のテーマであるお題「88歳」を意味を持たせながら、うまくお話の中で消化していました。
文句なく☆3です、最高のSFをありがとうございました。

読み終えた瞬間、頭に浮かんだ単語が「凄まじい」だった。

八十八歳が平均寿命となった社会。孫よりもしっかりした足取りで山を登るおじいちゃんは、その道中に何を想っていたんだろう。

交わされる会話、言葉選びの端々に、ぐっと詰め込まれた異質な世界観を感じさせる。完璧なSFでした。お勧めです。

SFです。

登山が趣味のじいちゃんは、米寿の記念に兼ねてからの夢だった霊峰に挑むことを決めた。


衝撃作ですね。このSF設定だから、こその結末ですね。

　祖父の米寿の祝いで、登山に来た主人公の俺。黄色のウェアが米寿の印となっているらしく、祖父はすれ違う人々から、「おめでとうございます」と声をかけてもらう。登山好きだった祖父は、悠々と霊峰に登っていくが、付き添いの主人公はキツイの一言だった。
　そして、山頂につくと、そこには絶景が広がっていた。
　ここまでは、普通の登山だった。
　
　しかし、後半にはどんでん返しが待っている。

　是非、御一読下さい。