カムパネルラによろしく

作者 陽澄すずめ

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★★★ Excellent!!!

彼女の乗る列車は、特別なものでした。

私も同じような体験をしたもので、ある所へ謝罪に参りました。

彼女の気持ち、旅路を急ぐように、そして、永遠のあるできごとが、私の経験と重なるようで、胸が詰まる思いをしました。

これは、私にとっても必要な旅だと思います。

そして、勿論彼女の人生の一角でもあるでしょう。

是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

何を見て、何を感じて、何を想うか。
まずじっくりとありのままに物語を追ってください。
遠くに光る星々の明かりと妙に静かな列車。ホームからそこに乗り込み、列車はある場所に向かいます。

音もなく、単調な響きがどこか冷たい中で、その温もりはまだその手の中。
そして、列車は静かに止まり、その温もりは永遠に消えていく。

それから、もう一度物語に入りましょう。

あなたの中に小さな命があることを想像してください。
それは、どのような命ですか?
あなたは、その命を愛おしく感じますか?

そして、想像してください。
その命を、あなたは一人で守らなければなりません。

あなたという命とあなたに授かった命の二つを。

そこから先の事は、私が語るべきではないでしょう。だけど、この物語は読むべきです。

ただそれだけを語ります。

★★★ Excellent!!!

敬体で淡々とつむがれるこの物語には、必要以上の描写がありません。感情に訴えかけるわけではなく、劇的な展開で心をかき乱すわけではなく、ただしずかに出来事だけが綴られています。だからこそ胸にせまってくるものがあります。凪の時間なのに、水面の下は激しく渦まいている印象をもちました。素敵な作品を、ありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

名作「銀河鉄道の夜」を想起する作品かと思いきや、現代における妊娠と堕胎に無責任・無知識な若者についての風刺を描いた文学作品でした。
非常に好きな作風です。こういった風刺は文学に慣れ親しんでいない読者でも読み取れると思いますので、道徳の教科書に載せて若い人達に読ませたい作品だと思いました。
本作はある一人の女性が見た夢の話であり、しかし決して夢ではない話。誰かにとって身近な話です。
誰にとっても、この話を軽んじる事は出来ないでしょう。
少なくとも彼女(主人公)はジョバンニの様に「本当の幸福」を知ることはありません。
彼女がまた銀河鉄道に乗るその日までは。

★★★ Excellent!!!

とても静かな文章で綴られる物語に、終始胸を締めつけられました。

銀河鉄道の夜から生まれたフィクションは数え切れないほどあります。それこそ、銀河の星の数ほどあるかもしれません。
そんなあまたある銀河鉄道の夜にまつわる物語の中で、この短い物語はとても鮮烈な印象を私の胸に刻んできました。

生まれたばかりの我が子にも、母にも、どうかどうかと祈らずにいられません。けれども、その祈りは何を誰にというのは、読み終わってしばらくたった今でも見つけられません。

★★★ Excellent!!!

衝撃的な一文から始まる、ひどく静かな物語。
彼女と、生まれたばかりの赤ん坊は、列車に乗って『洗礼所』へと向かう。
暗闇ばかりの国。
唯一の拠り所である、愛しい命。
たどり着いた先にいる、黒服の人物。

いったい、ここは何処なのだろうか。
疑念とともに読み進め――やがてあぁ、と腑に落ちる。そういうことだったのか、と。
彼女の、殴打される心に寄り添いながら。

とにかく彼女の心情描写が凄まじく、だからこそ痛ましい。描かれていない背景の細部にまで想像を膨らませさせる、そんな作品。

★★★ Excellent!!!

女性である以上、男性とセックスすれば常につきまとう妊娠。
そして、それは望まないセックスでさえつきまとうという理不尽さ。
決して子供は憎んでいないのだけれど、生んで育てる事は出来ない事と、小さな命の可愛さ、儚さとの葛藤。
十字架を一生背負う覚悟したということ。
そんな自分さえも葛藤の対象。
全ての男性にこそ読んで欲しいと感じました。

ありがとう。