選んだ結果(第六十九回 お題「選ぶ」)

 わざと大きな音を立てて、私は分厚いカタログを閉じた。

 担当者がいそいそと近づいてくる。

 「お決まりになりましたか?」

 「はい。選びません、ここに書いてあるコースは全部」

 わざとらしく大きな溜息をつきながら、担当者は私からカタログを受け取る。

 奥からは「いまどきの若い子は責任を負いたがらなくて困ったものだ」と大声のイヤミが聞こえてくるが、ふざけるなと思う。

 この世界が嫌いで死んだのに、勇者に転生して世界を救うコースを選べって言ってくる、あなたたちのほうがおかしいんじゃないですか。

 転生を嫌がったので私は地獄行きになったけれど、そっちに世界を滅ぼす魔王に転生するコースがあったので、私は喜んで魔王になった。

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