怯懦とならざるを得ず(第五十一回 お題「涙」)
その国は、隣国との戦をすべて傭兵に任せることにした。
報酬は破格、待遇も上等、武器も装備も望むままに用意してくれるが、集まった傭兵たちはその国の者たちを裏で嘲笑っていた。
だが、敵国の軍と対峙して、これは通常の戦いではないと知る。
敵陣の先頭にいたのは、異形だった。さまざまな動物を魔術で継ぎ合わせた巨大で禍々しい生き物の、一番上にある頭は少女のものだった。少女は始終涙を流し、嗚咽は騒然たる戦場でもはっきりと聞こえるほどであった。
傭兵たちがある程度まで撤退すると、敵陣も深追いせずに引いてゆく。
本陣に戻ってから、あの異形の頭は攫われたこの国の巫女なのだと、下働きの者から傭兵たちは教えられた。
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