宣言(第五十七回 お題「演じる」)
可愛い女を演じるのに疲れた。
もう終わりにしよう。
彼女がそう言うと、彼はしばらく押し黙った後、静かに目を伏せた。
「ごめん。言われるまで、君がそう思ってるって全然分かんなかった。
ごめん。ほんとにごめん。無理をさせてごめん。
君の希望どおり、終わりにしよう。いまここで…痛っ」
彼の頭をはたいた手をさすりながら、彼女はいらいらと口をはさんだ。
「人の話は最後まで聞きなさい。アイドルやめるのは、ネコかぶってオンナノコやるのがしんどくて限界だからってのもあるけど、『商品』でいたらアンタが手ぇ出してくんないからだから」
彼は、腰を浮かせて見下ろしてくる彼女をぽかんと見上げていたが、じきに満面の笑顔になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます