祝福の代償は……?

現実/非現実のあわいより、アイデンティティーと価値観がどう形成されるかという方向にVRのアイデアが練られていて秀逸。なおかつミステリー的仕掛けもあってすごく贅沢な作品。

現実世界では五感以上に多くの感覚が動員されており、そこでもってVR世界と現実との差異を見抜くくだりがよかったです。

動物を含めた他者に視点や感覚を移入できるという未来世界のVR機能が心憎い伏線として機能している。同作者様の「第二階層」にも通じるテーマを感じました。

本格的なSFとして読み応えのある作品です!