絢爛和風宮廷ファンタジー、だけど帝はセクハラ大王


 十二年に一度生まれる龍の通力を受けた遣わしである龍侍司(りゅうじのつかさ)。十七になった花祝(かしく)は、先代龍待司の職を受け継ぎ、内裏に召されて帝の守護に就くことになる。
 彼女のお役目は、龍の力をうけた龍袿(りゅうけい)を身にまといその通力をもって、数々の邪気から帝をお守りすること。

 そして、その龍袿を織るのは、おなじく遣わしである龍染司(りゅうぜんのつかさ)である青年・楓。
 この二人が力を合わせて守る帝は絶世の美形・彗舜帝。ところがこの彗舜帝、ありえないくらいのエロ陛下だったのである。


 本作は、美形だがエロ陛下である彗舜帝のセクハラ攻撃に悩まされつつも何故かときめき、同僚の楓くんの優しさに心をつかまれてほっこりしたりする初心な田舎貴族の娘・花祝の、邪を払い、恋に迷い、さらには何やらきな臭い陰謀にも巻き込まれちゃったりする和風宮廷絵巻である。


 本作の見どころは、やはりなんといっても、龍よりさずかりし通力は、穢れなき乙女でないと失われてしまうというのに、そんなことものともせず花祝を脱がそうとあの手この手で計略を巡らしてくるエロ陛下のガッツと知略である。ただしイケメンに限ると言わんばかりのセクハラ攻撃は、あきれるを通り越して、いっそすがすがしい!

 また鈍感女子である花祝の脇を固めるキャラたちも個性的。
 視聴者代表みたいな立ち位置で花祝の恋の行方に興奮している小雪や、「お兄ちゃんは超絶心配性」属性の乳兄弟・凪人やら、とにかく話を引っ掻き回す素敵なお仲間ばかりで、なんとも楽しい。

 そしてときどき花祝の口から発せられる、なぜか凄っく意味が伝わりやすい坂東の方言。

 大和言葉の美しさや、日本語特有の多種多様な色彩を表現する言葉、宮廷独特のアイテムなんかが目白押しで、ちょっと敷居が高そうな雰囲気もあるのだが、読み始めると全体に漂うコメディーのリズムがそれらを払拭してくれる。

 途中、区切りのいいところでレビュー書こうと思っていたら、なんかけらけら笑っているうちに最新話まで来てしまった。
 魅力的なイケメン&笑いのとれるキャラで溢れた本作。連載に追いつくのは難しくないので、読み始めるなら今である。

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