平凡な日常に見えても、いろんなドラマがあるものです

社会人になりたての渉くん、同じ部署の茅子さんはメガネをかけた大人しそうな同僚です。
決して特殊な会社ではないし、特別な営業職でもない、ブラックな企業でもなく、あくまで平凡な会社員の二人。
スタートはこんな感じなのですが、もちろんそれだけではありません。

ヒロインの茅子さんは地味な感じではありますが、メガネを取ると可愛い美人さんです。
しかも仕事が出来て、気配りも出来てと、秘かに社内での人気もあります。

渉君はといえばメガネを取った彼女にすっかり恋をしてしまい、群がる社内のライバルにやきもきしながらも、ひそかに思い続けております。
とはいえ、もちろん恋にばかりかまけてもいられません。
新人なので仕事を覚えることも大事だし、同期や先輩やらとの付き合いもあります。
そして茅子さんには実は簡単に踏み込んではいけないような秘密があって……

と、これぐらいのあらすじなら大丈夫でしょうか?
実はまだまだいろんな展開、キャラクターが待ち構えています。
読めば読むほど面白みが増していくので、この先はご自分で是非読んで見てほしいですね。

この作者さんの物語は丁寧な言葉の選び方、文章の運び方ですごく読みやすいです。読んでいてリズムがいいな、としみじみ思います。
そしてするりと物語世界に入り込んでいくような感覚があります。

日常を舞台にして、仕事内容とか組織のあり方、人間模様なんかもすごくリアルに感じます。
そう言った世界にあって、普通に暮らしている人にも実にさまざまなドラマがあり、決断があるんだな、と思わせてくれます。

人間ってこういうモノなんだよな、そんな感想がでるのは、わたしにとっては良い物語の証拠。
そんな感情を抱ける作品だと思いました。

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