蒸気機関隆盛の新時代を、魔女メイルゥが無双する!

 世界は魔法至上の旧時代から、蒸気機関隆盛の新時代へと移り変わっていた。

 物語は、国の魔導士として200年もの長きに渡り、たった一人で国を護った魔女メイルゥが、他国の圧力に依ってその任を解かれ、列車で王宮を離れるところから始まる。
 魔法を駆使して国を護った彼女が、新時代の象徴である列車に乗って都落ちするというのもいかにも皮肉な話である。
 しかし奇妙なことに、200年の間、魔導士として国の中枢で辣腕を振るっていたというのに、列車に揺られるメイルゥは、どう見ても十五、六歳の愛らしい少女にしか見えなかった。

 この冒頭だけでもワクワクする要素が満載なのに、読み進める度にワクワクが二倍、三倍、いや、二乗、三乗に膨れ上がるのだから、始末が悪い。
 それは、心地よい文章であり、心躍る設定であり、愛すべきキャラクターであり、心揺さぶるストーリーであり、それら全ての要素が絶妙のバランスで組み合わさった相乗効果の賜物である。
 そのクオリティの高さは、流石に作者氏をして、数年かけて構想を練り上げたということだけはある作品だ。

 もし、貴兄が本作を未読ならば、冒頭からラストまで読む手が止まらず一気読みしてしまうことだろう。
 そして、読み終えた後こう言わずにはいられないに違いない。

 もっと、続きを!

 それは、この作品を読了した者が等しく口にする言葉であり、当然、私も同じ台詞を口にした一人である。

 願わくば、続編を期待したい。
 そう思わずにはいられない作品である。

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