その死は自殺か? 呪いか? 殺人か? 真実は絵本の中に

とある児童養護施設でひとりの男が飛び降り自殺する。
奇妙なことに、遺体の傍らには一冊の絵本が落ちていた。
只の絵本ではない。
それは『読んだら死ぬ絵本』と噂されるいわくつきの絵本だった。

戦後間もない日本を舞台とした本作は、横溝正史の『金田一耕助シリーズ』、江戸川乱歩の『明智小五郎シリーズ』を彷彿とさせる。勿論、舞台設定だけでなく、舞い込んだ事件の不気味さ、不可思議さも含めて。
こう書くと、古臭い印象を持たれるかも知れないがそうではない。
レトロな雰囲気を纏いつつも、新しさも感じさせてくれる。
探偵・相馬蒼偉(そうま あおい)と、その幼馴染であり相棒であるフリーライター・佐々木沙希(ささき さき)のキャラクターが抜群で、二人のコミカルな掛け合いが陰惨な事件を中心に進む物語の救いとなっている。
また、本作はミステリーではあるが、謎解きだけに止まらず、その背景となる人間ドラマが際立ってる。
レトロで新しい、ミステリー&人間ドラマをお楽しみあれ。
極上の読後感をお約束しよう。

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