剣と魔法の失われたファンタジーの世界で……

 剣と魔法の世界はすでに崩壊した。蒸気機関、活版印刷、銃器、そしてメートル法。
 かつて救国の英雄といわれた魔女のメイルゥも、いまや半分ボケたお婆ちゃん。だが、齢200歳といわれる彼女は、精霊石の力により不老不死を手に入れているとか、いないとか。
 戦争が終わり、街には科学と産業革命の足音が響いているが、まだまだ暴力と悪意は消えていない。そんな世界で、時間に取り残されたように生きる異物ともいえる魔女メイルゥ。本物の魔法使いと噂される彼女と、街で出会う、やはり彼女のように時代に馴染めない者たちとの出会いの物語。それは古い時代への憧憬なのか、それとも新しい時代への警鐘なのか。
 やがて変わろうとする時代と、その中で翻弄される人々と、魔法使いであるお婆ちゃんの出会いを描いた、これは「物語り」です。
 周囲に満ちた魔法力の状態によって、若くなったりお婆ちゃんにもどったりする魔女メイルゥの活躍が楽しいです。

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