新しい朝
東京湾の方角に、天へと伸びる一本の線が見える。
軌道エレベーターというものだ。
ビルの屋上からパノラマを一望する。
ヒルズ、ブリッジ、タワー。
地上の全ては、軌道エレベーターを見上げる草木に等しい。
東の彼方から日が昇る。
『メル・アイヴィーは』
「月に帰った」
『女王ではなく』
「ひとつの」
「『いのちとして』」
……イヤホンの音が切れた。
いつかまた
月下美人は
咲くだろう
新たないのちを
大地におろして
……風が、吹いた。
※
御苑には、一輪の月下美人が活けてある。
その花弁が咲くことは――ない。
月下美人の微笑みを 山門芳彦 @YYgarakutalover
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