脱落令嬢の前に現れたのは、訳アリの美青年領主。擦れ違いまくりの恋物語!

 ある事情により、富裕な家の令嬢でありながら一人の求婚者もいないフェリエナは、兄と参加した舞踏会を、壁際でぼんやりと眺めていた。

 ダンスが終わり、人の輪が緩むと、ざわめきが起きる。顔を向けたフェリエナの目に飛び込んできたのは、目が覚めるような美青年だった。

 広間中の視線を集めながら進む青年――アドルは、フェリエナの前で片膝を着くと口を開く。

「可憐なお嬢様。よろしければ、一曲踊っていただけませんか?」

 ――この冒頭だけで既に、ハートを掴まれるのではないのでしょうか! だがこれだけでは終わらない。タイトル通り二人は……。また急展開ながら夫婦となる訳ですが、大変なのはここからなのです。

 求婚をしておきながら、夫婦らしい事を拒んでくるアドルに、戸惑うフェリエナ。そこには、彼女がそれまで一人の求婚者もいなかったように、アドルにも退っ引きならない事情があるのですが……。そこは是非とも、読んで確かめて頂きたい。夫婦と言うよりは、付き合いたてのカップルのような遣り取りをする二人の様子が、微笑ましくももどかしいのも魅力です。

 「いつか、あなたと手をつないで」というタイトルの意味を知った時、胸にぐっと来るものがある筈。

 じれったい恋物語、是非皆様も、ご一読。

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