第九話 しゅうり
翌朝、かばんはサーバル、サーベルタイガーやセルリアンハンターズのフレンズと共にセルリアンハンターズ本部の正門で待機組に見送られる。
「それじゃあ、かばん、頼んだよ…」
「はい!任せて下さい!」
すると待機組は修理組の方を見て全員で敬礼した。
そして、口々に応援のメッセージを言う。
「かばんさん!頼んだのだ!」
「頼りにしてるよ~」
「わ、私も応援してますぅ!」
「皆さんっ…」
かばんは少し感動したのか、少し目が涙ぐんでいた。
しかし、涙を拭い、待機組の方を見て敬礼し、こう言う。
「行ってきます!皆さんっ!」
修理組は全員ジャパリバスに乗り、出発していった。
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~数十分後発電所前~
バスは電線が何本も繋がっている建物に到着した。
「多分ここですね…」
「かばんちゃん…ここの建物なんか変な音がするよ…」
サーバルは耳をピクピクさせている。
「サーバルちゃん、変な音って…?どんな音?」
「ピー…ピー…って感じの音がずっと聞こえる…」
とりあえず一行はバスから降りて発電所の入り口を開ける。
ガラス製の押し戸を開けてしばらく進むと真っ暗で何も見えなくなった。
「かばんちゃん?大丈夫?」
「何も見えないよ…うーん…そうだ!メガネさんから貰ったこれで…」
かばんは懐中電灯を取り出してスイッチを着ける。
すると長い廊下が続いていた。
「わっ!それって…」
「うん、メガネさんから貰った奴だよ…暗いところで役に立つって…」
すると突然静かな廊下に声が響く
「後方からからセルリアン!そこそこ大きい!」
「うぁっ!」
「うみゃみゃみゃ!自慢の爪でやっつけちゃうよ!」
「私も手伝います!せいっ!」
サーベルタイガーとサーベルは何とかセルリアンを撃退したがまだまだ湧いてくる。
「援護します!」
他のフレンズの隊員も加勢して、何とか食い止め、先へ進む。
そして、目的地の制御室に到着した。
かばんは自分のリュックサックから手順の書かれた紙と道具を取り出して作業に入る。
「かばんちゃん!何か手伝おうか?」
「サーベルちゃん…じゃあ、向こうのればーを下げてきてくれるかな?」
「うん!」
「かばん…さん私も何か…」
サーベルタイガーも手伝いを始め、最終的にはそこに居た隊員全員で修理を終わらせた。
「皆さん!手伝ってくれてありがとうございます!」
かばんが深々と頭を下げるとメガネから無線が入る。
「かばん!皆!すぐにそこから離れて!!」
「え?メガネさん?何で…」
「急いで!早く!発電所を稼働させたらすぐに!ザー!ザー!ザー!」
かばんはとりあえず発電所を作動させ電力を復旧させると他のフレンズと一緒に発電所の外に出た。
日は落ちかけていて、巨大なセルリアンがこちらへ向かってきていた。
「かばん!聞こえるかい?今すぐにピー!に帰ってくるんだ!もうそこには巨大な!ザー!ザー!ピー!」
「巨大な…もしかして…セルリアン!?」
かばんは急いでバスのアクセスを踏むと、地中から巨大な口が現れバスごと飲み込もうとしてきたのだ。
「うぁぁぁ!」
「かばんちゃん!逃げてー!」
何とか口を回避し、ジャパリバスはジャングルを疾走する。
地中からは口以外にも素早いセルリアンが出て来てバスに飛び付いてくる。
セルリアンハンターズの隊員やサーベル、サーベルタイガーはそれらのセルリアンを倒しながらバスから落ちないようにバランスを保っている。
舗装されてないジャングルの道を走ること十数分、ハンターズ本部前に到着した。
そして、本部の入り口の門に到着し中に入ると本部は破壊し尽くされていて、跡形もなく瓦礫の山があるだけだった。
「そ…んな…」
かばんは戦慄した。
他の隊員も驚きの余り膝が地に着いている者も居た。
「ねぇ…かばんちゃん…皆…何所に行っちゃたのかな?」
サーバルはかばんに問いかけるが、かばんから返事は帰ってこない。
「ねぇ?…かばんちゃん?」
すると次の瞬間、巨大なセルリアンが瓦礫の下から出て来た!
「ウォォォォォ!」
と雄叫びを上げ、数名の隊員を取り込む。
「皆さんっ!そんなっ!」
「かばんちゃん!来るよ!」
サーバルが警戒したときには時既に遅し、かばんの事を捕食しようとセルリアンが攻撃を仕掛けてきていた。
もう、間に合わない。
かばんは自分の死を覚悟した。
しかしその時、サーバルがかばんの前に立ってかばんを庇ったのだ。
「サーバルちゃ!」
「ゴメンね…かばんちゃん…私の代わりに生きて!」
サーバルはセルリアンに捕食されてしまった
「そんな…サーバルちゃん…そんな…嘘…まだ行きたいとこも…話したいことも…」
かばんは目の前の惨事を認めたく無かった。
現実を否定した。
彼女は自分の無力を呪った。
セルリアンは再びかばんを捕食しようと攻撃体制を整える。
「かばんさん!かばんさん!逃げましょう!
」
「でも!サーバルちゃんが!サーバルちゃんが!!」
サーベルタイガーがかばんをバスに乗せ、その場を離れたのだった。
しばらくすると通信が入る。
「ピー!ガーガー!かばん!聞こえるかい!?かばん!?」
かばんはトランシーバーをとるとメガネに訴えかける。
「メガネさん!サーバルちゃんが!サーバルちゃんが!!」
「まさか!大型セルリアンにっ!」
「うぅ…はい…」
「…マズいな…今日中に奴を倒さないと…とりあえず、そのままバスに乗って…」
しばらくするとメガネ達の居るキャンプへ来ていた。
バスから降りるとメガネ達が出迎えた。
メガネの白衣は汚れていて、他のフレンズの治療にあたっていた。
アライさんは頭に包帯を巻いていたし。
フェネックも足に包帯を巻いていた。
そして、かばんから本部での悲劇を聞くとメガネはホワイトボートをかばんに見せた。
「これが作戦だ、沢山のフレンズ達があれに食べられてしまった…一刻も早く助け出さないと…」
「サーバルちゃんが…」
かばんは再び、サーバルを失うかも知れない瀬戸際に立たさせていた。
「かばん、これはすぐに実行する作戦だ、いいね?失敗は許されない…各地からハンターも集まってる…ボクたち、セルリアンハンターズであのセルリアンを止めて、皆を助け出すんだ!」
かばんは深呼吸を一回してからメガネに言う
「解りました!メガネ副隊長!」
「よし!それじゃあ!作戦開始!」
「なのだ!」
「はいよ~」
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第1回超巨大セルリアン討伐作戦
※本作戦はセルリアンハンターズのメガネが指揮を執る物とする。
作戦フェイズ1 セルリアンをパークセントラルの都市部へ誘導
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~パークセントラル 観覧車~
「それじゃあ皆さん!行きます!アライさん!お願いします!」
「お任せなのだぁ!」
アライさんが観覧車の操作卓のボタンを押すと観覧車はキラキラとした照明と共に回転しだした。
すると少し遠くにいたセルリアンは観覧車の方に歩き出す。
「みんな!すぐにそこを離れて!」
メガネから無線が入り、かばん達は観覧車から離脱、作戦をフェイズ2に移行する。
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作戦フェイズ2
都市部誘導後、セルリアンを指定ポイントまで移動。
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セルリアンは凄まじいスピードで都市部に到着すると市街地の路地をズシンズシン走って行く。
その時!
バァァァァン!!!
ドガガガガガガガガガ!
セルリアンの足元のアスファルトが崩れセルリアンは横倒しになった。
更に…
「見事に引っかかったね…これでトドメだ!」
メガネは赤いスイッチを押した。
すると…
バァァァァン!バァァァァン!バァァァァン!
3連続で爆発音!そして…
ドガガガガガガガガガ!バリバリバリッ!
ビルが横倒しになりセルリアンにぶつかった!
「セルリアンの反応がきえたっ!やったか!?」
しかし、そんなことは無く、セルリアンは再び起き上がると穴から這い出ようともがいていた。
「そんなっ!あの攻撃を食らって!」
「メガネさんっ!次の作戦はっ!?」
「どうするのだ!?メガネっ!」
「みんな食べられちゃうよ~」
次々と隊員達はセルリアンから伸びた触手のようなもので捕食されていく。
「みんな…ゴメン…僕…出来ると思ったんだけど…やっぱり…ダメだった…僕は指揮の才能なんか無いんだ…僕はただの研究員…」
メガネは通信で隊員全員に言う。
セルリアンは穴から這い出し、近くに居たメガネを発見する。
そして近づいていく…
「みんな…着いてきてくれて…」
セルリアンがメガネを取り込もうと近づく…
「ありがとう…!」
そして…
つづく…
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