第十一話 おまつり
巨大セルリアンに勝利し、フレンズ達は勝利を祝い、おまつりを始めた。
しかし、サーバルや、他数人のハンターの意識は未だに戻っていなかった…
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~パークセントラル ハンターズ野営地~
「えー皆さん!これからこの事件の解決に大きく貢献したかばんさんとボウシさんからお話があります!」
マーゲイがマイクを使い、フレンズの皆に呼びかけると拍手が起こる。
かばんとボウシは木箱を並べて作った即席のステージの上に上る。
「最初はヒトのフレンズ!かばんさんです!」
マーゲイがそう言うと会場は静まり返る。
「皆さん!今回はパークのために集まってくれてありがとうございます!皆さんの協力でパークは救われました!」
会場は拍手に包まれる。
「ありがとうございます、そして、皆さん、ボクの友達を助けてくれてありがとうございました!ボクからは終わりです」
もう一度会場は拍手に包まれ、ボウシにマイクが渡される。
会場は再び静まり返る。
「パークのフレンズの皆さん、この度はハンターズに協力いただき感謝します、ハンターズを代表してお礼を言わせて頂きます、ありがとうございました」
ボウシは深々と頭を下げる。
「今回の事件で数名のフレンズが怪我を負い、内、一名は現在も意識がありません、これは全て私の責任です、誠に申し訳ありません」
ボウシは再び頭を下げる。
会場は沈黙に支配される。
「この1件の責任を取り、私はハンターズの隊長を辞任し、全権をかばんに委譲します」
「ふぇ!?」
会場がざわめく。
かばんは驚いて変な声を出した。
「私が数年教育したあと、かばんはハンターズの隊長になります」
「え?!ボウシさん!?」
「大丈夫だかばん皆を見てみろ」
ボウシはそう言うとかばんをステージの中央に押し出し、こう言った。
「かばんをこれより、セルリアンハンターズ隊長候補生に任命する!」
会場は拍手に包まれる。
「さあ、私達からは以上です、それじゃあ皆!楽しんでくれっ!」
ボウシとかばんがステージから降りるとPPPのライブが始まった。
ボウシはしばらくフレンズ達と談笑した後、少し席を外して、1つのテントへ向かった。
「サーバルの容体は?」
メガネはボウシの声に気付くと丸椅子を180度回転させてボウシの方を見る。
「まだ、目を覚まさないよ、かばんにはこんなこと言えないけど、もしかしたら一生目を覚まさないかも…」
「そうか…これは一度元の動物に戻してやった方がサーバルの為かも知れないな」
「でも、そんなことしたら…記憶が…」
「一生目を覚まさないよりかはましだ、」
ボウシはBB弾型の対サンドスター弾を撃ち出すエアガンをサーバルに向ける。
「…」
メガネは下を向いて硬く拳を握り、自分の非力さを恨んだ。
ボウシは引き金をかける指に力を込める。
その時
「何をやってるんですか!?」
「…かばん」
かばんはボウシがサーバルに銃を構えて居るところを目撃してしまった。
「ボウシ…さんもしかして…」
かばんの顔は困惑から絶望に変わる。
「…こうしないとコイツはもう二度と起きない、記憶か、命かどちらかを失わなくてはいけないんだ」
「そんな…でもっ!」
ボウシは再び引き金に力を込める。
ボウシの脳裏に訓練していたとき、サーバルとかばんが楽しそうに会話している様子が映る。
メガネはボウシが構える銃が震えている事に気づく。
ボウシの頬に冷や汗がつたり、テントの中は心拍数を図る機械の音だけが響く。
そしてボウシは…
「…クソッ」
そう言って銃を下げてしまった。
そしてかばんに銃を渡す。
「かばん、お前がお前自身の過去とお別れするんだ、おい、メガネ、行くぞ」
「え、ちょっ…待ってよボウシ!」
ボウシとメガネはテントから出て行きかばんは寝ているサーバルに突っ伏す。
「サーバルちゃん…なんで…こんなことに…なんで…」
かばんは泣きながらサーバルに問いかける。
一方外ではボウシとメガネが協力してくれたフレンズ達にお礼を言って回っていた。
PPP達は歌い終えたのかフレンズ達と話して握手などをしていた。
ボウシは一通りお礼を言い終えるとメガネにラッキービーストの点検を頼むと、自分のテントへ戻ろうと野営地へ向かった。
野営地を歩いているとサーバルのいるテント前へ着き、ふと、この中を見るとまだ昼だというのにかばんはサーバルに突っ伏して寝ていた。
「…まだ子供だな、」
ボウシはかばんをお姫様抱っこで持ち上げ、かばんのテントの寝台に乗せて布団をかけてやった。
そして、テントを出る前にかばんに声を掛ける。
「お疲れ、よく頑張ったな…」
聞こえるはずもないがボウシはそう言いテントを後にした。
翌朝、ボウシはテントへ足を運ぶとそこには一匹のサーバルキャットをかばんが抱きかかえていた。
「やったか…」
「うぅ、サーバルちゃん…サーバルちゃん…」
涙を流しながらかばんは何度もそう言っていた。
「離してやれ、そいつも新しい人生を歩むんだ」
「イヤです…」
かばんはよりいっそうサーバルへの執着があるようだ。
「…かばん!甘ったれるな!」
ボウシが大声で叫ぶ。
「そいつはもうサーバルちゃんじゃない!だだのサーバルキャットだ!お前と旅をしたサーバルちゃんはもういないっ!!認めろっ!現実を!!!」
かばんは今にも大声で泣き出しそうだ。
「かばん、俺も大切なフレンズを失ったことがあるから解る、もう、奴は戻ってこない、あきらめろ、もう、忘れろ」
ボウシの声が震える、かばんがボウシを見るとボウシは涙を流していた。
「ボウシさん…」
「俺だってな、悲しいんだよ、短い期間だが俺達の隊の、ハンターズの隊員だったあの、サーバルに二度と会えないなんて信じたくない、もうフレンズを失うのはもう二度目だ」
ボウシの脳裏にコヨーテとサーバルの笑顔がよぎる。
「辛さから逃れるためには忘れるしか無い、人生の先輩からの言葉だ、俺はそれが今でも正しいと思う」
かばんはサーバルキャットを放す
「…ボウシさん、どうしてサーバルちゃんは記憶を失ってしまったんでしょう…」
ボウシは少し考えてから言う
「そう言う“運命“だったんだ」
ボウシはそう言うと腕で涙を拭ってテントから出た、サーバルキャットもテントから出ようと出口へ走り出す
「あっ!サーバルちゃん…」
サーバルキャットは立ち止まり、一瞬振り返ったがすぐに何処かへ走って行ってしまった。
翌朝
「おはようサーバルちゃ……」
かばんはいつも通り朝の挨拶をしようとしたがそこにサーバルは居ない。
かばんはサーバルが居なくなった事を思い出し、また、泣いた。
本当は解ってる、もっと自分が強かったら助けられたと、あの時あのセルリアンが居なければサーバルちゃんが居なくなることも無かったと。
もうどうでもいい、何もかも、
「おい、かばん…行くぞ」
ボウシが部屋に入ってきてそう言った、
「ボウシ…でも今かばんは…」
「黙ってろ、かばん、良いから来い」
かばんは頷くとベットから立ち上がりかばんをしょって帽子を被った。
ボウシに着いていくとそこには白い建物があった。
「ここは、研究所、お前の家、つまり縄張りだ」
「ここが、ボクの…」
中は少し汚れていたが白を基調としたデザインで清潔感がある、かばんはここを気に入った。
「そして、かばん、君にはこれからサンドスターについて研究してもらうよ」
メガネはそう言うとかばんに入館証のような物を渡す。
「これでかばん、お前は正式なパークガイドだ、これでパークのカメラにアクセス出来る、サーバルもそれで探せるだろう」
「サーバルちゃんを探す?」
ボウシは頷くと説明を始める
「ああ、昨夜キョウシュウの火山が噴火した、大量のサンドスターがこの辺りに降り注いだ、あの、サーバルキャットも何処かでフレンズ化しているだろう」
かばんの顔色が明るくなる。
「じゃあもしかしたら!」
「ああ、もしかしたらな、もしかしたら…」
ボウシは昔聞いた話を思い出す。
たしか、一度セルリアンに食べられたフレンズが記憶を取り戻した話だ。
もしかしたら、サーバルも、今はそう考えておこう。
「さて、かばん、お前に紹介したいフレンズが居る」
「え?誰ですか?」
ドアが開いて出て来たのは…
「かばん、久しぶりなのです」
「元気にやってるのですか?」
「博士!助手!」
そう、博士と、助手が来ていたのだ。
「今日からこの二人にはかばんのアシスタントをやって貰う」
「身の回りのことは我々に任せるのです」
「かばんはサーバルの事やサンドスターの事に集中するのです」
「は、博士!助手!!ありがとう御座います!」
かばんは博士と助手に抱きつく
「か、かばん、く、苦しいのです!放すのです!」
「かばん、このままだと博士が死んでしまいます放すのです」
「あっ!す、すいません…」
かばんは博士と助手を解放した。
「それと、今日から研究についてはメガネがお前と共同でやってくれ、まあ、結構留守にするかも知れないが…その時はラッキービーストが面倒を見てくれるだろう…」
ボウシがラッキービーストに目を向ける。
「マカセテ、ボウシ」
「改めて頼んだぞ、ラッキー」
(ボウシがラッキービーストの事をラッキーて呼んだ…!?)
メガネは内心驚いていたが平然を保つ。
「…それじゃあ俺らはこれで置賜させて貰うぞ」
「かばん、また、明日来るから今日はゆっくり休んでね」
ボウシとメガネはそう言うと野営地へ帰っていった。
~夜~
ボウシはかばんと別れた後、直ぐにヘリに乗り、キョウシュウエリアの火山へ来ていた。
火山の近くには台地があり、そこにポツンと1つは歪な形の十字架が立っている。
ボウシはその鉄くずと木で作られた十字架の前にじゃぱりまんと腰のナイフを置き、敬礼をし、その場に座る。
「コヨーテ…また、一人失った、大切な隊員を…」
ボウシは星を眺めながら言う、目には又、一筋の涙が…
「俺は…ダメ隊長さ…フレンズを2回も殺しちまった…はぁ…」
ボウシはポーチから酒を取り出し、一口飲む
今は貴重な酒だ。
「…なぁ、コヨーテ、俺が死んでお前が生きていた方が良い未来が来てたのかもな…ハハッ…死人に言ってもしょうがねぇか…」
かばんにあれほど忘れろと言ったのに、一番未練があったのはボウシだった。
彼がこうして一ヶ月に一回は墓参りをしているのもコヨーテの事をどうしても忘れならないからだ…
ボウシは時計を見て立ち上がる、すると空からサンドスターが降って来た。
「おっ、サンドスターか…」
ボウシは特に気にせずヘリに乗ろうとする。
その時だった…
「コン!」
「っ!?!?」
聞き覚えのある声と同時に後ろに振り返る。
そこには間違いなく、正真正銘あの、対特定特殊セルリアン部隊に入隊していたコヨーテが立っていた。
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次回~キミとボクと、アナタとワタシと
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