第八話 はつでんしょ
~ハンターズ集中治療室~
かばんがボウシの寝ているベットの隣に座って、ボウシを見ていた。
「君は悪くないよ、かばん」
突然、メガネが部屋に入ってきてかばんに言う。
「でも…ボクが弱いせいで…ボウシさんは…」
かばんはうつむいてそう言う。
「…かばん、確かに君はまだ未熟かも知れない、でもそれはボウシにも言えることだったんだ」
「?」
「ボウシはね、過去に大切なフレンズを失ってるんだ、コヨーテって名前だったね…セルリアンと戦ってたときにボウシをかばって死んでしまったんだ…」
「そんな…」
メガネはボウシにサンドスターを投与して話を続ける。
「その後ボウシは僕に中々口を聞いてくれなくなった…ボウシはそれ程心に深い傷を負ったんだ」
「…メガネさん、じゃあ何で今はあんなに…」
「それは、彼は会ったんだよ、死んだ筈のコヨーテに、一度ね…そこで話を聞いたんだって…科学的には絶対にあり得ない話だよ…ハハッ…」
メガネの目から一筋の涙が流れていた
「メガネさん…」
「ああ…ゴメン…かばん、君にこんな所を見せてしまって…よし、君は訓練に戻った方が良いよ…ボウシは僕が面倒を見るから…」
メガネは涙を袖で拭き、かばんを訓練に戻らせた。
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アイアイの指導の元、その日の訓練が終わるとかばんは疲れ切ってサーバル達と少し談笑すると寝てしまった。
「zzz…」
「かばんちゃん、頑張ったんだね…」
サーバルはかばんをベットに連れて行き、布団をかぶせた。
そして、自分もベットに着き、寝る。
「明日も頑張ろうね!かばんちゃん!」
かばんにそう語りかけて。
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2日後、ボウシ意識回復せず メガネが臨時隊長を務める。
突然メガネの端末が大音量で警報音を鳴らし、激しくバイブレーションし始めた。
「何だ!?…っ!!」
メガネは集中治療室から飛び出し、パーク中のカメラにアクセス出来る監視室へ走った。
監視室へ到着すると首から下げてるスタッフ証をかざし、扉を開ける。
(非常にマズいことになったかも知れない…)
メガネは監視室のモニターを全て起動し、パークセントラルの海岸のカメラを全て起動した。
すると、一台のカメラにとんでもない物が写っていた。
「そん…な…」
メガネはしばらく放心状態に陥ってしまった
ふと、我に返ると監視室の赤いボタンを押した。
それと同時に基地内は赤い光に包まれ、アナウンスが流れ始めた。
「緊急事態発生、緊急事態発生、パークセントラルの海岸に驚異レベル未知数の超大型セルリアンを確認、全、セルリアンハンターは直ちに本部、訓練場に集合して下さい、繰り返します…」
数分後にはラッキービーストの通信なども使い、パーク内の全、セルリアンハンターが訓練場に集結していた。
その数約75人!
そして、メガネが壇上に立ち、話し始める。
「皆!聞いてくれ!今!ジャパリパークは危機を迎えている!」
ハンター達は少しざわめく。
「とても大きい、それも、あの観覧車位大きいセルリアンが今、パークに来てしまった!
僕達の隊長、ボウシも今、そのセルリアンにやられて、怪我をしてしまった!ボウシが居ない今だからこそ言う!あのセルリアンを止められるのは僕達!セルリアンハンターズしか居ない!」
ハンター達は頷き合って居る者も居たが、観覧車を見て、無理だという者も居た。
「今こそ!僕達ハンターズが戦えないフレンズを守るときだ!皆!僕に力を貸してくれっ!!」
メガネは深々と頭を下げる。
しばらく静寂が空間を支配する。
「大丈夫メガネちゃん!心配しないで!皆解ってるよ!」
メガネが顔を上げるとフレンズ達は皆メガネに敬礼をしていた。
「ボクは…ボク達はメガネさんに協力します!」
「パークの危機なのだ!アライさんも協力するのだ!」
「パークが無くなっちゃったからイヤだからねぇ」
「私も協力します!」
「私も協力するっ!」
「わ、私もっ!」
「任せてくれ!」
「あんなセルリアン俺達の敵じゃあ無いっ!」
「よーし!やるぞー!!」
協力の意思表示の輪は次々と広がって行き、メガネは涙目になりながらお礼を言っていた。
「有り難う…皆…本当に…有り難う…」
「メガネさん!皆に指示を!」
「よ、よし!まずは皆!発電所を直しに行くぞ!」
『オー!!!』
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ハンターズ集中治療室
ボウシが寝ているベットの隣でかばんとメガネが話していた。
「明日、発電所を直してこの辺り一帯に電気を通す、そして、パークの外とと連絡を取って助けに来て貰う、後、セルリアンの足止めにも使うし…」
メガネはボウシの点滴を交換しながら言う。
「とにかく発電所を直さないと話にならないんだ、明日君と他の隊員数人と直しに行って貰うけど…大丈夫かな?」
かばんは少し考えてゆっくり頷く。
「…やってみます、ボク!」
「ありがとう…僕はボウシの容態と他の準備を進めなくちゃ……」
メガネはボウシの心拍数を計測し終えると改めてかばんの方を向いた。
「かばん…君にプレッシャーを掛けるようだけど、この作戦が失敗したらこのジャパリパークはお終いだ、だから、何があっても絶対に諦めないで…」
「…解りました、メガネさん…じゃあお休みなさい…」
「うん…お休み」
ベットに着くと、かばんは自分の背負った責任の重さを改めて感じ、しばらく考えたが、意識が遠のき、深い眠りに着いた。
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ラッキー「ジカイ、しゅうり、オタノシミニ」
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