第七話~うわさ

ボウシとかばんは基地に帰るとメガネや皆にホッカイ地方での巨大なセルリアンについて話した。


「…成る程…氷の下のセルリアン…多分氷の下の空洞に居たんだろうね…セルリアンは水に触れると溶岩化する種類、黒セルリアン

もいるし…」

「何はともあれ、このままあのセルリアンを放っておく訳には行かない、早めに駆除すべきだ」

「まず、それよりも君はかばんを育てた方がいいんじゃないかな?」

「何だって!?先にセルリアンだろ!」


ボウシは机を叩いて抗議する。


「かばんを鍛えて君と同様、もしくはそれ以上のセルリアン対策を出来るようになれば僕達にも大きな力となる…だからここは先にかばんを育てた方が全体の勝利へと繋がる…」


ボウシは少し考えてから頷く


「はぁ…解った、すぐにかばんを訓練する」

「頑張って!ボウシ!」


ボウシはすぐにかばんの元へ向かった。


「さて、僕はさっきの話とここ最近のフレンズが消える噂についてとの関連性を考えなくちゃ…」


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~訓練場~

サーバル達、けもののフレンズはアイアイが指導する訓練を受けることに、かばんはボウシとワンツーマンで訓練することにした。


「いいか?かばん、知ってると思うがセルリアンは体の何処かに石…あー…へしがある」


かばんは相槌を打ちながら話を聞く


「その、へしを割るとセルリアンは倒れる、だからまずはすぐに攻撃を仕掛けるのでは無く、へしの場所を見極めろ」


そう言うとボウシはナイフを抜いて、構えた。


「俺がナイフを構えた場所にお前のナイフをすぐに当てろ、いいな?」

「でも…もしボウシさんに当たったら…」

「大丈夫だやってみろ」


かばんはつたないやり方でナイフをボウシの構えるナイフに当てる。


カンッ…カンッ…キンッ…コンッ…


しばらく続けているとかばんのナイフが  だんだん早くなってきた。


カンッカンッ…キンッカンッカンッキンッ…コンッ


「良いぞ…かばん、だんだん力の入れ方が解ってきたか…」(流石は人のフレンズ…学習能力が高いな…)


かばんは次々にボウシが構えるナイフに的確に自分のナイフを当てていく。


「ストップ、よし、ナイフの訓練はこんなもんで良いか…それじゃあ次はかばん、お前のセルリアンとの戦い方は?」

「ボウシさんにナイフを貰うまでは、紙飛行機でセルリアンの気を逸らしてました…」

「成る程…紙飛行機か…ちょっとやってみてくれないか?…紙はこれを使ってくれ」


ボウシは地図を取り出し、手渡した。


「それじゃあ…ここをこうして…出来ました!…これを…えいっ!」


かばんの投げた紙飛行機は綺麗に飛んでいった。


「成る程…良いな、それをお前の持ち技にしよう…」

「もちわざ…?って何ですか?」

「持ち技は得意な技、サーバルキャットで言うとジャンプからの急降下で仕留める奴だな…」

「ジャンプからの急降下…」

「そう、とても普通のヒトには出来ない芸当だ…さて、次の訓練だ…次は野生開放について…」


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~パークセントラル、ビル群(廃墟)~

メガネが1人都市をフレンズに話を聞きに歩いていたが何かに気付き耳を澄ませる。


「そこに誰かいるのかい?」


メガネは溶液の入った容器を取り出しながら音のしたほうを見る。


「…」


メガネはゆっくりと音のした方、コンビニの店内へ歩き出した。


「誰かー…本当にいないのかい?」


メガネは店内を捜索し始めた。


「イタズラだったらやめてよー…」


と呟きながら商品棚の裏側へ回るとそこには雑魚セルリアンがいた。


「なんだ…雑魚セルリアンか…」


メガネは腰に差してあったナイフで石を叩き割った、すると静かだった旧市街地に叫び声が響き渡る。


「きゃーーーー!!」

「!?…なんだ!?」


メガネは急いでコンビニを飛び出すと巨大な蜘蛛のような黒セルリアンがいて、フレンズを襲っていた。


「…!あれはマズイ!」


メガネは黒セルリアン目掛けて溶液を投げるがさほどダメージは負っていない用だった。


「ひい…ひい…もう…ダメ…ですぅ…」


走っているフレンズはそろそろ体力の限界だ

メガネは辺りに何か無いか探している。


「何か足になる物…何処かにないか…!」

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「ひぃ…ふぅ…はぁ…このセルリアン早すぎですぅ…」


追いかけられていたフレンズ、コアラはもうヘトヘトで立ち止まるのも時間の問題だった

そして力尽き、その場に座ってしまった。


「もうだめですぅ…うぅ…」


コアラが涙目になっていると横から音が聞こえてきた。


ブゥゥゥゥゥンブゥゥゥゥゥン


交差点から現れたのは何とメガネが運転するバイクだった。

そしてセルリアンの目に溶液をぶっかけてコアラの前で止まった。

グォォォォォと雄叫びを上げ、セルリアンは悶えていた。


「コアラさん!乗って!」

「は、はいっ!」


メガネはコアラを乗せてその場を走り去ろうとするがセルリアンが持ち直し、全速力で追ってきた。


「は、早い!これじゃあ追いつかれるのも時間の問題だ!」


メガネは更にアクセルを踏んだ。

しかし、あっという間に距離を詰められる。


「くそっ!溶液もこれ以上使えない!どうすれば…」


その時だった、セルリアンの目の前をスウッと火のついた紙飛行機が通っていったのだ。

セルリアンは急停止し、その紙飛行機を目で追う。

そして次の瞬間ボウシが蜘蛛型セルリアンに数発専用弾を撃ち込んだ。


「ボウシ!遅いよ!」

「悪い、足の速いそいつを追いかけるのには少し苦労した」


ボウシは申し訳なさそうに言ってその後すぐにセルリアンに飛び付いていった。


「くたばれ!!」


ナイフを石に思いっ切り刺し、捻ってから抜く。

するとあっという間に石にヒビが入り、蜘蛛型セルリアンはサンドスターロウキューブになった。


「おっと…マズいな…急いで離れろ!汚染が始めるぞ!」


ボウシは後ろステップで離れ、かばん、ボウシ以外の全員を軽装甲車に乗せ、メガネに運転を任せ、帰投させた。


「よし、かばんいくぞ」

「はい!」


かばんはボウシについて行く。

二人はしばらく旧市街地を歩き、ホテルを越え最終的に海岸へ来た。


「ふぅ…大したセルリアンも居ず、困ってるフレンズも居なかった…しばらく休憩するぞ」


ボウシは夕日が落ちる砂浜に腰掛け、同じように砂浜に腰掛けるかばんに水筒を差しだした。


「あ、ありがとうございます」


かばんは訓練の時はかなり厳しいボウシが優しそうな表情をしているので少し驚いた。


「ん?どうした?俺の顔になんか着いてるか?」

「い、いえ!…ちょっといつもと違って優しいな…と…」


するとボウシはふふっと笑い出した。


「ふふふ…ハハハハ!そうか!優しいか!フフフ、ふぅ…いや、かばん、悪かったな、俺は確かにお前に強く当たっていたかも知れないな…」

「い、いえっ!良いんです!そうしないと僕サーバルちゃんと一緒に戦えるぐらい強くなれないので!」


するとボウシは海の方を見ながら話し始めた


「…かばん、強さだけが全てじゃない…お前には考える力がある、サーバル達は君にだいぶ助けられてるのでは無いか?」


かばんは今までの旅のことを思い出す、確かにサーバルにも助けられていたけれどかばんも、サーバルを助けて、新しい知識を授けていた。


「どうやら、思い当たる節が沢山あるようだな…」


かばんはボウシの方を見てうなずく。


「かばん、少し先の話をしていいか?」


何だろうと思いながらも頷く


「俺達は近々パークを出て、ヒトの縄張りへ行く、お前はどうする?」

「本当ですか!?ヒトの縄張りって!」

「ああ、お前が本来住むべき所だ…だがそれはサーバルとの別れも意味する」

「え?」


ボウシは又、真剣な表情に戻る。


「フレンズはな、パークの外へ出られないんだ、いや、厳密には出たら基本的には元の動物に戻ってしまう」

「そんな…」

「だが、お前はヒトのフレンズだ、外に出ても元の動物、ヒトに戻るだけだ、だが、お前の親友、サーバルは動物のサーバルキャトに戻ってしまう…」

「…」


かばんは少し考える。

確かにヒトの縄張りへ行きたい、でも、サーバルちゃんとお別れするのはイヤだ。

どうしよう…

そう思っていた矢先。


ザッパーン!グォォォォォオオオ!

海岸から巨大な黒いドロドロとしたセルリアンが出て来て、こちらに触手を伸ばしてきた。


「うっ!うわあああ!」

「かばん!後ろステップだ!」


かばんは訓練の動きを思い出し、後ろに高速で下がった。


「よし!良いぞ!かばん!このまま仕留める…グホッ!」


ボウシの横っ腹に触手が命中し、ボウシは数メートル砂浜を吹っ飛んだ。


「ボウシさん!」

「…クッ…ゲホッ…逃げろ!かばん!」

「でも!」

「は…早く!行けぇ!!!!」


ボウシは大声で叫ぶ。

かばんはその圧に押させ一歩下がる、しかしそこで踏みとどまった。

ボウシはゆっくりと立ち上がり、セルリアンにナイフを向ける。


「間違いないな…このセルリアン最近の噂の奴か?…しかしこの海岸にも現れるとはな…」


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~三日前~


「それで…アイアイ、その子の友達は海岸のの青い建物で木のベランダ着いている所に居たが、急にステージとベランダと共に消えしまった…と奇妙な話だ、水の中のセルリアン何て初耳だぞ…」

「その他にも、海のフレンズの友達が消えしまったという報告も寄せられいます…それでフレンズの間には海のセルリアン、ウミリアンが居るとか言われてますぅ…」

「ふぅむ…」


ボウシは手を顎に当てながら考える。


「よし、取り敢えず、フレンズが消えてしまった海岸や海は封鎖、フレンズを近づけないでくれ、それと、余り噂で騒がせないことだな…」

「判りましたっ!明日から封鎖をスタートさせます!」

「頼んだぞ、アイアイ」

「はいっ!」


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ボウシは再びセルリアンに斬りかかる、しかし今度はセルリアンの触手が腹と肩に突き刺さる。


「グアッ!!ゴボッ!」


ボウシは吐血しながらも立ち上がり、ナイフを向ける。

しかし、非常にもセルリアンはボウシを触手で弾き飛ばす。


「グホッ!…」


ボウシは遂に動かなくなった。


「ボウシさん!!」


かばんはボウシに駆け寄り、ボウシを引きずって海岸から離れる。

しかし、セルリアンは再び触手を繰り出す。

かばんはそれをナイフで防ぐが、ナイフは弾き飛ばさせてしまった。

かばんは急いで紙飛行機を作り、セルリアンに方に飛ばした。

セルリアンは視線を紙飛行機に向け、紙飛行機を追いかける。


「よし!今のうちに!」


かばんはボウシを何とか海岸から離し、市街地に置いてあった、リアカーに乗せ、ハンターズ本部へ運んだ。


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~ハンターズ本部 医務室~


ボウシはベットに横たわっていて、意識はまだ戻ってない。

部屋の中はピッピッという心拍数を図る機械の音と点滴が垂れる音が聞こえるだけだ。

かばんはボウシの傍に座って、ボウシの事を見ていた、そこにメガネが入ってくる。


「…かばん、ボウシは今体の中のセルリウムと戦っているんだよ、完全なフレンズなら、すぐに分解するんだけど、ボウシは半分だけフレンズで残りの半分はヒトなんだ…」

「半分だけ…」


かばんはメガネの言葉を繰り返す。

そして単刀直入に聞く。


「…メガネさん…ボウシさんは…ボウシは死んでしまうんですか?」


しばらくの間病室は静寂に包まれた。


「…解らない、僕にも…ただ、ボウシはこんなことじゃ死なない…僕はそう信じてる」

「そう…ですか…」


かばんはそう言うと静かに部屋を後にし、サーバル達の所へ帰って行った。

そして、自分とサーバルの部屋へ入る。


「かばんちゃん!お帰り!ボウシちゃんはどうだった?」

「…うん、少し寝てたよ、メガネさんは心配ないって」

「そうなんだ!それなら安心だね!」

「うん…」


かばんは少し元気なさそうに言う。


(かばんちゃん、疲れてるのかな?)


サーバルはそう考え、早く寝ることにした。


「かばんちゃん!今日も一緒に寝よ!」

「うん!でも良いの?サーバルちゃん?まだ、早いけど…」 

「へーきへーき私ちょっと疲れちゃったの!」

「そうなんだ…解ったよ!ありがとうサーバルちゃん!」


かばんはサーバルの隣の隣のベットに寝ると電気を消し、サーバルと共に深い眠りに着いた。


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???「次回はつでんしょお楽しみに!」


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