第六話~てつだい

かばんを宿舎に送り届けた後メガネとボウシが話していた。


「君は…!どうしてかばんにそんなことを!」


メガネが机を叩きながらいう


「言ったはずだぞ!俺はこれ以上俺の手で ハンターを育てないと!」

「君は何時まで過去に囚われてるんだい?」

「…っ!」


メガネはボウシの目を見ながら言う。


「もし、君が彼女を受け取らないつもりなら僕が科学者として育てる…」

「何のためにだ?」

「僕達が居なくなったパークを彼女が統制する為に…」

「成る程、勝手にしろ俺はなんとも言わんだがアイツは完全なヒトのフレンズ、旧サンドスター研究所サンドスター応用班ですら完全なヒトのフレンズは生み出せなかった、つまりアイツはかなり存在自体がかなり不安定な筈だ…」


そう言うとボウシは冷めたコーヒーを飲み干した。


「…ボウシ、彼女をセルリアンと互角に戦える用に訓練してくれ」

「…アイアイに相談しろ」

「君じゃないとダメなんだ!」

「俺はアイツがどうなろうと知った事じゃない!」

「ボウシ!」


するとドアが勢い良く開く。

そこに立っているのはかばんだった。


「…ボウシさんお願いします…メガネさんから色々聞きました…」

「メガネ…」

「バスの移動中にちょっとね…」


かばんは頭を下げて言う


「お願いします!ボク!サーバルちゃんや フレンズの皆さんと一緒に戦いたいんで

す!」

「…」

「ボウシ…!」


ボウシはコーヒーを机に置き口を開いた


「明日、適性診断をする、そこで判断する」


かばんの顔がぱぁっと明るくなる


「ありがとうございます!」

「…早く寝ろ」

「ボウシ…」


かばんは部屋を出て宿舎に向かった。


「ボウシ…!やっぱり君って人は…」

「喧しい、あくまで見るだけだ」

「大丈夫だよ、君はもうあの時のコンじゃないボウシなんだから!」

「はぁ…俺も寝るぞ」

「解った、お休み」


ボウシは自室に入りベッドに寝っ転がった。

そして机の上の写真に目をやる。

そこにはコヨーテ、ミライ、カコ、ヒグマ、キンシコウ、リカオン、ボウシ、メガネが写っていた。


「随分時が流れたな…又、俺はフレンズを 殺すことになるのか…?」


そう呟くとボウシは電気を消して寝る。

その夜、ボウシは懐かしい夢を見た。


「コン!コン!早く!」

「落ち着けコヨーテ…焦っても何も得られないぞ…」

「解ってる!でも、私は早くこの景色を皆に見せたいんだ!」


坂を登り切るとそこはサバンナ地方を見渡せる高台だった。


「凄いな…!」

「そうだろう!ここパークの中でお気に入りの場所なんだ!」

「ひぃ…ひぃ…ボウシ…ふぅ…待ってよくれよ~」


メガネが息を切らしながら上ってくる。

それを介護するようにヒグマ、キンシコウ、リカオンが後ろから続く。


そこで夢は終わってしまった。

朝起きるとボウシの目から涙が一筋。


「…行くか」


涙を拭いベットから立ち上がる。


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ボウシが訓練場に行くと既にかばんが1人で立っていた。


「…着いてこい」

「は、はい!」


かばんは早足でボウシに着いていった。


「今日お前にやって貰うのは適性診断、簡単に言うとテストだ」

「テスト…それは何をやるんですか?」

「俺の手伝いだ、それとこれを持っておけ」


ボウシはナイフをかばんに差し出す。


「これは確か…ナイフ、ですっけ?」

「そうだ、これからは自分の身は自分で守れ、それとそのナイフは無くすなよ」


ボウシはヘリポートまで来て、ヘリに乗った

しかしかばんは身長が少し足りず乗れない


「…はぁ」

ヒョイ

「あ、ありがとうございます」

「座ってシートベルト締めろすぐに出るぞ」

「えっと…何所に…?」

「ホッカイ地方だ」

「え?」


ヘリはボウシとかばんを乗せ飛んでゆく


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~ホッカイ地方、雪原~

かばんはボウシから貰った防寒具を身に纏いボウシと共に雪原を歩いていた。


「さ、寒いです…」

「我慢しろ」


ボウシはいつもの上着にブーニーハットなのだが全然寒そうな素振りを見せない。


5分後


「あのー…そう言えば何所に向かっているのですか?」

「通信塔だ、パークの外を通信するためのな」

「通信…と言うことは遠くに居るのに声を近くで聞くことが出来るって事ですよね?」

「そうだな」

「そこに行って何をするんですか?」

「修理だ」

「…成る程」


それから数分すると晴れ空が吹雪になってきた。


「…かばん、ゴーグルを付けろ」


そう言ってボウシはかばんにゴーグルを渡す

ボウシは既にゴーグルを着けていた。


「…ボウシさん、寒くないんですか?」

「ああ、上着がそうゆう素材なんだ」


ボウシはかばんに上着を見せる、ぱっと見解らないが本人の様子から全く寒くないのだろう。

かばんはそんな上着よりも中に着ていた  シャツに興味が湧いた。


「ボウシさん、そのシャツ僕のと同じですね」

「…そうだな、これも少しは防寒や放熱の手助けをしてくれる…」


しばらくすると吹雪が強くなってきて1メートル先も見えなくなり、声も風の音で掻き消されてしまった、ボウシはかばんにロープを巻き付け、自分のベルトのカラビナに着けて何とか互いの位置を把握していた。


「さ、寒い…本当に寒い…」

「…」 


ボウシは足を止めてかばんに近づき、かばんに自分の着ていた上着を差し出す。


「え」

「その代わり、お前の防寒着を貸してくれ」

「あ、ありがとう御座います…ううっ…寒い…」


かばんは持っている防寒着をボウシに渡し、上着を着た、まだぬくもりが残っていた。

そして、何よりも暖かかった。

ボウシは防寒着を着て、再び歩き出した、

かばんもそれについて行く。

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そして遂にうっすらと建物が見えてきた。

かばんはヘトヘトだった。


「何だか…眠く…」

「しっかりしろ、おい、おい!」


かばんは型に手を当てられ揺さ振られるが

もう、疲れていた。


「くそっ…あーもう…」


ボウシはかばんをおぶって建物に走った。


(何だか、暖かい…まるで、まるで…)


かばんの意識が遠のく中ボウシは建物の入り口に着いていた。

建物の扉は水密扉の様な感じでハンドルを 回して中に入る。

玄関は二重扉なのでひとまず本室の前の部屋で息を切らしながらかばんを下ろす。


「はぁ…はぁ…起きろ…起きろかばん、かばん!」


かばんはビクッとして目を覚ます。


「わぁ!す、すいません…」

「…あと少しでお陀仏だったぞ…」


とりあえず立ち上がるボウシ、そして二枚目の扉を開け中に入る。


その先にはチンパンジーのフレンズ、シーラが机に突っ伏して寝ていた。


「おっと…かばん、シーラを起こさないように奥の部屋に入ってそこで待機、いいな?


かばんは頷き、奥の部屋に入る。

ボウシはかばんが入ったのを確認すると  シーラを少し揺さ振った。


「うぅん…あぁボウシかー…」

「サクッと聞くぞ、通信機は?」

「一応直ったよぉ…」

「それは本当か!」

「でも…でんきが足りないよぉ…そんなに直ぐには使えないよ…うぅん…あと2.3日はかかるよ…」

「2.3日か…一応装置を見させて貰うぞ」 

「解ったぁ…ふぁぁ」


ボウシはアイアイに毛布を掛けてかばんが 待機する部屋に入った。


「この装置を動かす、手伝って貰う」

「わかりました!」

「俺の言うとおりに動かせ、良いな?」

「はい!」


その後ボウシはキーボードとPCの画面を見ながらかばんに指示を出した。

かばんはそれらの指示を完璧にこなした。

最後にボウシが少し配線をいじくって蓋を閉めた。

もう、夜が明けていた。


「よくやった、完璧だ」


かばんの顔が疲労から一転明るくなる。


「ありがとうございます!それじゃあ!」

「…」


ボウシは少し考えてから口を開く。


「お前は吹雪を乗り切る気合いと指示に従う冷静さがある、そして、セルリアンハンターになる資格は誰にでもある…」

「じゃあ!」

「ああ、良いだろう、俺が鍛えてやる!」

「やった!ありがとうございます!」

「すぐに基地に戻るぞ、それとそのナイフはもうお前のだ、返さなくて良いぞ」


かばんとボウシはシーラに挨拶をしてからヘリに向かおうとした。

すると、シーラが声を掛ける。


「良かったら私が送っていくよ!」

「良いのか?」

「それじゃあ、お願いします!」

「よーし!」


シーラ達はガレージに向かった。

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ガレージには雪上車やスノーモービルがおいてあった。


「雪上車か、最高速度で行くのか?」

「勿論!さあのってのって!」


そして雪上車は最高速度でヘリに向かった。


~道中~

突然、座席に座っていたボウシが立ち上がり、窓の外を見だす。


「どうしました?ボウシさん?」

「…恐らくセルリアンが…」


ボウシが途中まで言いかけると雪の下から 巨大な触手のような物が飛び出てきた。


「うあああ!ヤバいの!」

「クソッ!シーラ!ハンドル貸せ!」

「解ったの!」


ボウシは雪上車の運転席に座り、アクセルを全開で加速をある程度続けると急にブレーキを掛けた。


キィィィィ!


雪上車は凍った湖の上を滑っていたのだ。

恐らくスピードは63キロを超えているだろう。

そして、ヘリに到着し、すぐにエンジンを起動する。


「シーラ!お前も来い!」

「私は良いの!私は通信機の面倒を見るの!大丈夫!」 

「…ボウシさん?」

「…解った、気をつけろよ!シーラ!」

「了解なの!ボウシ!」


そして、ヘリは離陸した、その瞬間!

ヘリの足の部分にセルリアンの触手が絡みつき、地面に引き寄せられる。


「マズイ!かばん!ナイフだ!」

「は、はい!」


かばんはナイフを取り出し、セルリアンの触手に思いっ切り刺した、すると触手は引き、ヘリは飛び立てた。


「はぁ…はぁ…ボウシさん…やりました…」

「ああ、よくやった…かばん…九死に一生を得たな…」


ヘリはパークセントラルの基地へ向かい始めた。

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パークセントラル 沿岸

???「グオオオオ…」

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PPPよこくぅー

プリンセス「今日は装甲車について予習するわよ!」

イワビー「そもそもそーこーしゃて何だ?」

コウテイ「確か、強い衝撃にも耐えられる車?だっけ?」

ジェーン「この辺りのフレンズ達の情報によるとボウシさんが乗っているらしいですよ」

フルル「又ボウシさんだー」

コウテイ「本当に謎の多い人物だ…」

プリンセス「次回、うわさお楽しみに!」


パッパッピピペポッポパッポーパパペパプ♪

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