きっと純粋すぎたのだろうか

死のうとも思えず、生きようとも思えずにただ生死の狭間にある日常を惰性で生きている。そんな「ありふれた」青年が死のうと決心した。

死と生というものは相反して対極に位置する概念。その間をただ行き来するだけの人生とはなんと面白くない。しかしそれが普通で、ありふれているものだから、なんとも否定しきれない。

だからこそ青年は純粋すぎた彼女に惹かれたのかもしれない。

見えてしまった人の闇の部分に目を背けることもできず、ただ自分の中に巣食う恐怖と、絶望に近しい感情が混じるどす黒いものをなかったことにはできなかった。だから彼女は死をもってなかったことにしようとしたのかもしれない。

名前も告げず、ただまっすぐと死を見つめる彼女の純粋さに、私も惹かれるものを感じた。

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