いつも隣合わせなものを、僕は彼女と二人で実行したかったんだ。

 主人公が出会った美少女。主人公は少女が自殺願望を持っていると勘付きながら、声をかける。ささやかな二人の会話。しかし二人の距離は、出会ったままの距離が一番良かった。名前も知らない。教えることもない。ただ隣にいるだけの存在だった。だから、少女から自殺に誘われた時、安請け合いしてしまった。
 なかなかベストな死に際はやってこない。
 しかし、主人公が背中に衝撃を受けた時、読者もまた、衝撃を受けることになる。自殺しようとしていた主人公は、意外な結末を見る。

 生きている限り、いつも隣合わせなそれを、我々はいつも見失いがちだ。
 主人公と共にそれを実行したかった彼女は――。

 是非、御一読下さい。

その他のおすすめレビュー

夷也荊さんの他のおすすめレビュー1,202