第14話 作戦

 3日後の早朝、ミエコから電話が鳴った。

「おはよう、ユウマ。私思ったんだけど、時空を超えることが許されているのは私たちのタイムディスクだけ。この地球の地上に出ることを許されているのはヒューマン社のタイムディスクだけ。それなのに、ヒューマン社のタイムディスクを、私たちは2014年に目撃している。ということは、ヒューマン社のタイムディスクを手に入れれば、両方が可能なんじゃない?」


 ミエコの大胆な言葉に、一気に目が覚めた。

「ミエコ! それだ! でも、どうやって手に入れる?」


「私にアイディアがあるの。電話じゃ不安だから、4人で直接会った時に話すね」

 ミエコの不敵な笑みが目に浮かんだ。


「ツーーツーーツーー」

 電話が切れたあと、身震いした。慌ててクルム先輩とハヤトにもミエコがアイディアを持っていることを伝え、仕事が終わったら集合して欲しいと伝えた。


 今日は全く仕事に身が入らない。どんなアイディアなんだろう? クルム先輩もハヤトもどこか上の空で仕事をしている感じだった。

 それに比べてミエコはというと、鼻歌交じりで仕事をテキパキこなしている。不敵な笑みを浮かべて、ヒューマン社のタイムディスクを操縦する姿が脳裏から離れない。

 

 一日の仕事をなんとか終えた頃には……ミエコ以外は、ぐったりだった。


「ミエコのアイディアって?」

 俺はテンション低めにミエコに聞いた。


「ヒューマン社のタイムディスクを手に入れる理由は分かったでしょ? そのためにどうすればいいかってアイディアなんだけど、少し乱暴だから……」

 ミエコは一瞬迷ったかと思ったが、続けた。

「1947年のアメリカで軍の輸送機が行方不明になり、乗組員が消息不明になるって事件があるんだけど、5日にヒューマン社が実行するらしいのよ。これだけ具体的に分かっていれば、私たちは過去のパトロールでヒューマン社を目撃したことになる。そうすれば本社に報告でも、マスコミに流すこともできるんだけど、ヒューマン社のタイムディスクを奪っちゃえば、堂々と地上の世界に行くことだってできるでしょ」


「5日後に1947年って確かなのか?」

 クルム先輩はミエコのアイディアに賛同したのだろうか。


「私のひいひいおじいちゃんは、アマチュア無線が趣味だったらしいの。その機械が家にあってね。私はオモチャ代わりに無線で遊んでたの……。何年前だったか受信方法をカスタムしてたら、ヒューマン社もタイムキープ社のタイムディスクの無線も拾えるようになってて……」

 自分の機械いじりの趣味が急に恥ずかしくなったのか、ミエコの声が小さい。


「ユウマ! ハヤト! どうする?」

 クルム先輩が答えを急かす。


「俺やりますよ! こんな嘘だらけの地下都市……嫌です!」

 俺の答えに続いで、ハヤトも答えた。

「僕も先輩たちに着いていきます!」


 もう後戻りはできない。

 俺はどうしても今の地球がどうなっているのか知りたい!

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