第3話 緊張
「いってきま~す。」
この地下世界は空があまり高くない。飛行機なんて大きなものが飛べるような空はない。ただ、NASAのタイムディスクは毎朝上空を飛び加速して時空へと消えて行く。
俺の通勤手段は電磁バイクだ。当然タイヤなんて原始的な物は付いていない。地面から20m程上空を滑るように進む乗り物だ。道路という定義はないが、建物を縫うように進めば必然的に左側通行の車列ができる。今日は渋滞が少ないから10分程電磁バイクを走らせてれば会社につくだろう。
そうそう、俺の新しいミッションについて説明しとかなきゃ。最近のタイム犯罪の傾向として、ヒューマン社の脳入替え技術を応用し、過去から美貌や芸術才能の持った人間をそのまま2118年に連れ帰り、その体を脳入替えによって支配しようとする個人的欲求の犯罪や、その芸術才能で一儲けしようする組織犯罪が増えているのだ。今回のミッションは121年の時空を超えることになる。イギリスという国の元王妃の美貌を狙って誘拐する計画があるらしい。容疑者の名前はアンリ・ポールというエンターテイメント業界の裏のドンらしい。
計画の概要はこうだ。1997年のパリに滞在している元王妃は数々のスキャンダルで多くのメディアに追われている、その混乱を利用してポールは元王妃を誘拐しようとしているとの情報だ。その誘拐をなんとか阻止するのが今回の俺のミッションとなる。
「おはようございます! 先輩!」
後輩のハヤトは、朝からテンションが高い。初めてのミッションにワクワクしているようだ。
俺はというと……会社についてからリーダーというプレッシャーに少し潰されそうになっている
「あ……ハヤト、おはよう」
「どうしたんっすか! ユウマ先輩! 張り切って行きましょうよ!」
そう言うと、ハヤトはエレベーターのアイセンサーに右目を合わせる。
もう、この言葉は……はっきりいってイジメだ……。
「先輩……今回の……121……時空を……初めて……ですよ」
エレベーターの中で、ハヤトが何を話していたのか、正直覚えてない。
「ポーーン」
エレベーターは14階にあるミッション第1課のフロアーについた。
と同時に、課長のジョーからの一言
「ユウマ、ハヤト、今すくミッション指令室へ集合だ!」
俺のテンションに関係なくミッションが始まる! 気合入れ直して、イッチョやるか!
「はい!」
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