第13話 確信

 それの結果は1週間で出た。


 クルム先輩に呼ばれた、俺、ハヤト、ミエコはタブレットの真っ黒な画面を睨みつけている。


「それじゃ、結果を見てみるぞ」

 クルム先輩は、震える手でタブレットに軽く触れた。


――頭髪の放射線炭素測定の結果を転送する――

タブレットには、じらすようにゆっくりと文字が表示されていく。


――検出年代 2011年――

4人は一斉に顔を上げて見つめ合う。


「ということは……」

ハヤトが呟く。


「私たちの予想が……」

ミエコは口に手を当てながら、小声で言った。


「この地下世界はいったい……」

 クルム先輩も動揺を隠せない様子だ。


「父さん……」

 俺だけ、的外れな気もしたが、これが正直な気持ちだった。


ミッションMAS370から抱いていた4人だけの小さな疑惑が、この瞬間に現実のものとなり……、4人だけの小さな世界から、地球を巻き込みそうな大きな疑惑へと変わった瞬間だった。


「だからヒューマン社は、僕たちタイムキープ社の2055年以降へのパトロールを禁止しているのか! 一体、誰が何の目的で?」

 ハヤトが珍しく興奮している。

 

 こうなれば、俺たち4人は地上の様子を確かめたいとの意見で一致したのだが、ミエコによれば、マシンを西暦設定は2054年を超えないようにリミッターが掛かっているらしい。もし、リミッターを解除できたとしても、タイムキープ社のコントロールセンターがエンジンを強制的にストップしてしまう仕組みになっているらしい。

 また、地上への出入りは数箇所あるらしいが、ヒューマン社によって24時間厳重に監視されている。これを、何の力もない4人で突破することは不可能に近いだろう。


 こうなったら、タイムキープ社の本社に報告して正式なミッションとして、2055年以降への許可をもらうか……。ヒューマン社へこの証拠を突きつけて地上への入口を開放してもらうか。どちらも望みは薄いだろう。


 いっそのこと、この証拠をマスコミに流して、人類全体でヒューマン社へ疑惑の目を向ければ白状するだろうか。これも、地下都市がパニックを起こす可能性があるだろう。


 こんな議論をしながら、何時間経っただろうか……。

今日は、結論を出せないまま解散となったが、みんな満足そうな顔をしていた。

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