謎の真相は地下か地上か~DEEP KEEPER~

@masyan0238

第1話 プロローグ

 2118年、地球は氷河期へと突入し人類は地下での生活を余儀なくされていた。

地上は厚い氷に覆われ、植物どころか動物や昆虫までもが育たない惑星となってしまった。人類は、地下100mに都市を築き、プラスティックサンと呼ばれる人工太陽を開発し、その日差しで育つ限られた植物や動物と共存していた。当然、これらを食用にすることは世界憲法によって禁止とされていた。

 この地球環境の変化は我々の生活を一変させた、と同時に科学技術の進化スピードを急速に加速させた。先に説明したプラスティックサンが代表的な物だ。真っ暗な地下の世界の1日24時間を完璧にコントロールし、昼の明るさを足元から照らしているのだ。また地下の世界にも南半球と北半球が存在しているがプラスティックサンの管理によって、過去の地上であったといわれる時差なんてものは存在しない。

 

 この地下世界では食料の確保が大きな問題となっていた。かつて地上では70億人が住んでいたといわれる地球、氷河期突入によって多くの犠牲が出たのだが、それでも32億人の住人がいる。32億人の食料を確保するため。人工食料の開発を主軸としてきた。しかし、2098年にアメリカのエーゲス博士が時空を超えることのできる乗り物、タイムディスクを開発したことで食料事情が変わった。食料確保の任務を与えられたのはNASAという機関だ。なんでも昔は宇宙という所へ人を送り込み人類が住める惑星を探していたなんて話を聞いた噂もある施設だ。そんなNASAが氷河期以前の地球へタイムトラベルし、食べ物となる動物を捕獲していた。これにより我々は餓死だけは逃れていた。


 また、医療も格段に発達した。密閉空間に近い地下の環境は地上よりも過酷と言える。平均寿命は男女共に44才。なんでも昔は100才まで生きる人間がいたらしいがそれは教科書の中の話だ。その代わりに人類はとんでもないことを思い付き、実現させた・・・。

 地上の氷の中には犠牲となった人間が綺麗な状態で冷凍保存されているのだ、そこに目を付けたのがヒューマン社のリーゼル博士だった。冷凍保存された人間の体に、寿命となった人間の脳を移植し、最新技術で蘇生させる。これで人間は平均寿命の2倍88才まで生きることが可能となった。もちろんヒューマン社は急成長することとなった。


 これが俺の生活している2118年の地球だ。

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