振り返ればあの時ヤれたかも

　高校三年生である古市は、これまで何一つとして青春といえるべき経験をしてこなかった。あのとき、ああしていれば……と後悔してばかりである。
　十二月、受験勉強の気分転換に外を歩いていると、道端でアヤシゲな女性の姿が目に入ってふと足を止めた。すると彼女は自分のことを女神だと言った。そして古市のこれまでのことをことごとく言い当て、力になってやるとまで言う。古市は信じがたいと思いつつも、彼女の話に乗ってみることにした。
　そうして女神の力によってタイムリープして「あのとき」に戻ってきた古市は、好機を掴み取り、麗しの彼女も掴み取り、そしてその当然の結果として童貞を卒業する――といった輝かしい青春を送るために奔走するのだった。