第19話9.5台風21号―1
おとといの晩うちの社長から連絡が来た。
「台風直撃で交通機関がストップします。急きょ昼から明日出てください」
「昼から。了解いたしました!」
6年前の台風では桂川が氾濫。おと年の台風では京北通行止め。
それを上回る台風だそうだ。何かと暗雲があちこちと漂いだしている。
一気にこれを吹き払って台風一過素晴らしい秋空を迎えたいのだが・・・・。
早めに行ってゆっくりするかと思いつつ12時半にお茶場へ着くと、
社長が座ってテレビを見ている。
「直撃ですねえ、撮影2本だけやから女子風呂はもうお湯はらずに
各部屋の水漏れなどこまめに点検してください」
「了解いたしました」
3時から4時までが一番京都に接近とのこと。もう四国に上陸している。
雨風が強まり1/2階の踊り場から窓サッシに水漏れが始まり事務所大騒ぎ。
課長のN氏が、
「各部屋水漏れがないか見て回ってくれ、特にさんのとこ」
と指示があった。
東向きの窓に強烈な風雨。さんに水がたまりだした。
道場の古タオルを全部持ち出してさんに詰め数十分おきに取り換える。
2Fと3F東向き8部屋がやばい。4Fの大部屋は天井から雨漏り。
窓から外を見るとこんな光景は初めてだ。テントがまくれ上がりへしゃげ、
何もかもが吹っ飛んでいく。危険極まりない。しかしセットの撮影は続行。
ついに会館の屋根が飛んで電気室に水が入り撮影終了と同時に停電。
皆作業途中で帰宅命令が出た。夕方これから真っ暗になるからだ。
団地も大変なことになっていた。停電でこの団地は水も出なくなる。
最悪!周りは停電だけなのに断水はきつい水が出ない。食器がたまり
顔も洗えない。大便はコンビニまでいく。クーラーが止まって熱帯夜!
コンビニで水2リットルを4本買ったが食器を洗いトイレを流すともうなくなる。
暗闇の中、懐中電灯の心細い光の下で汗たらたらおにぎりをかじる。食べた気がしない。
汗をぬれタオルで拭きたいがもったいない。眠りたいが眠れない。皆大丈夫だろうか?
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