概要
音を知らない少女は雨を引き寄せる
1970年。田舎の農村に住む青年、村雨耕一郎は遠い異国の少年、サンディと文通をしている。その交流は平凡から切り離されたような感覚があった。
サンディが話す「雨の日に舞う少女」が楽しみで仕方ない村雨は彼らに会いたいと思いを募らせる。
しかし、雨の日に舞う少女はある日を境に忽然と姿を消した……
二人が少女に寄せる思いは無償の優しさなのか。それは本人たちにも分からない。
サンディが話す「雨の日に舞う少女」が楽しみで仕方ない村雨は彼らに会いたいと思いを募らせる。
しかし、雨の日に舞う少女はある日を境に忽然と姿を消した……
二人が少女に寄せる思いは無償の優しさなのか。それは本人たちにも分からない。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!彼女は《雨》の日にだけ歌い、とても綺麗に踊るんだ
「彼女はとても美しいんだ」
異境の少年は、弾むような筆跡で綴る。
「今年もね、雨がいっぱい降ったんだ。そうすると彼女は晴れやかに笑うんだ」
手紙からは純粋な憧憬と穏やかな恋慕が滲んでいる。
異境の少年と文通を楽しんでいた青年は、それらの手紙に綴られた少女の姿を夢想していた。日常からかけ離れた美しい夢に憧れ、導かれるように、彼は異境の村にむかった。文通相手の少年は想像と違わずそこにいた。されどすでに少女はいなかった。それから青年は、毎年少女を捜して国境を渡るようになる。
雨を願う少女の《幻想》…想像から創造された《憧憬》という偶像。夢を追い続けた先にあるものは。
想像のなかで変わってい…続きを読む