母娘に必要なのは思い出?いいえ、もっと深いところで繋がっているのです。

記憶喪失の母親と、母親を知らない娘が、運命的に出会って一夜を過ごす物語です。
だんだん明らかになる二人の関係と、マーリットの感情に心が揺さぶられて、6話では涙がこみ上げて止まりませんでした。

子どもがいたことを覚えていないけれど、こみ上げる感情と、身体に刻まれた過去――。

母娘の繋がりとは?
思い出がなければ愛情は湧かないのか?
「母娘」ではいられないのか?

読者に投げかけた疑問を、物語を通して鮮やかに解決していく作者の技量の凄さです。
どうやったらこんなに見事に複雑極まりない人間の感情を小説に閉じ込めることができるんだろう?

「スノーウィ・ハンド」とこの物語を読んでいる間、ずっと幸せでした。
ブラボー!

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