残らないからこそ残せるものがある。

それが形あるものでも、そうでなくても。

致死性発光症という不治の病に侵された人間は、徐々に身体から強い光を放つようになり、最後は光とともに消滅する。消滅、それは骨のひとつも残さずに身体が完全に消失してしまうこと。身体が残らない残酷な病を前に、人は何を残すのか。

答えはきっとひとつだけではない、と作者さまがおっしゃっているように、読み手にもいくつもの「もし」を想像できるだろう小説です。残らない恐怖を前に最期に向かって行動する人々。そのどれもが正しいし、そのどれもに異なる可能性がある。
皮肉なほど綺麗な輝きを見せて逝く様は、胸に深く突き刺さります。

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