"崩壊した世界"に"多くの言葉"を

主人公は高校三年生の理論武装クソメガネ、イサム。

ある日、紙飛行機を見て、七年前に仲の良かったすみれちゃんが異世界に行ってしまったことを思い出し──。

王道的な始まり方! グッと引き込まれます。
そして『空とぶじゅもん』ですよ。こういうのホント好き!
さあ、いざ異世界!

なんやかんやで異世界に来たイサムは、不思議な力『ナ・レート』を使いこなしながら、崩壊した世界を冒険します。

登場するのは、記憶を失った少女だったり、物語の好きなお姫様だったり、カッコいいサイボーグだったり。
あれ、この子がもしかして……?とか考えながら読んでました。

あとは笛吹ですよね。多数の世界に存在する同一人物。不思議すぎる……。
彼の存在がこの物語の一つの大事なポイントです。

こちらも、色々と予想しながら読みました。が、乙島さんの強力な創造力は私の貧困な想像力を裏切って、見事に衝撃の展開、ハラハラドキドキワックワクのストーリーをぶつけてきます! 「何っ!? そう来たか!」って5回くらい言いました。

すごく個人的なお話になってしまうのですが、作品に夢中になりつつ、宮部みゆきさんの『ブレイブ・ストーリー』を読んだときのことを思い出しました。

どちらも、異世界まで巻き込んだ壮大なストーリーであるにもかかわらず、すごく読みやすく、身近に感じられるんですね。

あとこれは、面白い物語を読んだときに毎回感じることなのですが、言葉とか物語の力ってホントすごいなぁっ……て。特にこの作品はテーマがテーマだけあって、それが顕著に感じられました。

あとタイトルすごくないですか? みなさん気づいてます?
■に文字入れて読むと『A LOST WORLD』なんですけど、■の部分抜かすと『A LOT WORD』になるんですよ。すごい。参りました。

さらに、こちらも狙ったのかどうかわかりませんが『A LOT WORLD』『A LOST WORD』でもこの作品をしっかり表せているような気が……。ホントすごい!

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