私、本当はビガンゴさんの爽やか青春系な筆致の作品が好きなんですよ。
なのでちょっとお下品な異世界ファンタジーの世界観で始まる本作がハマるかどうかやや不安だったのですが……
いや、ちょっと待って、本当にすごい。
ボンゴレ☆ビガンゴさんは今まで爪を隠していた巨象、あるいは虚像だったのか。
こんな作品を書いてしまう筆力の高さに脱帽です。
章ごとに、あるいはエピソードごとに切り替わっていく世界と主人公の姿、人格。
共通点は名前とトイレと螺旋と、夢。
本作に答えはあるのかもしれないし、ないのかもしれない。
全力でふざけているだけかもしれないし、大真面目に緻密に練り上げているのかもしれない。
それすらも読者の想像に委ねられ、苛立ちを覚えながらも読まされてしまうのは本作の面白さと文体の読みやすさとそして奇妙な魅力ゆえでしょう。
悔しくて悔しくて何度も読み返してしまうこと間違いなし。
読み応えある作品を求める方にうってつけです。
主人公のドーラが異世界転生したり、漂流したり、ダンジョンと化したコンビニで迷子になったりする話。
同じ主人公なのにそんなごちゃごちゃしたジャンルレスな小説があってたまるか!?と思われるかもしれませんが、大丈夫です。
それぞれの話で、ドーラの年齢や性別が違ってきます。ちょっと意味がわからないかもしれないのですが、私もよくわかってないです。
さらに共通する登場人物である砧とコマキも別人となって現れ、2人とドーラとの関係性も変わってきていて、読んでいて混乱もしてくるのですが、それでいて一つひとつの章がめちゃくちゃ面白いので、さらに混乱してきます。
レビューで面白さを十分に伝えられないのがもどかしい!
とにかく読んでほしいタイプの、不思議な魅力のある作品です。
果たして【煉獄螺旋】に迷い込んだドーラは、世界の理を解き明かすことができるのでしょうか。
ぜひあなたも、ドーラと共に並行世界を旅してみてください!