第2章 歪んでいった人付き合い

第12話 新世界

受験のストレスから解放された。


なんとか高専に合格することができた。

嫌々ではあったが、最後の方は落ちたら恥ずかしいという劣等感もあり、必死に勉強していた。


これで実家から離れられる。

合格したことよりも、地獄のような日々から抜け出せられる安心感に包まれていた。



合格したこともあってか、家では久しぶりに私を含めた家族での食事。

いつもなら一人で食事していたため、簡単なご飯しか食べていなかったが、その日は出前の寿司。



父の機嫌も良かった。


怒り狂ったときは、私に暴力を振るったあとはだいたい母親に当たり怒りを鎮めていたが、こんなに機嫌がいい日はいつぶりだろうか。

今でこそ書けるが、当時は暴力を振るわれるのが当たり前だと思っていたので、機嫌がいい父を見るとこちらも嬉しくなった。



俺の鼻も高いよ。

会社の部下から、息子さん頭がいいんですねと言われたよ。


父は満足気に語っていた。


私が受験したのに、まるで自分の教育があったから合格することができたと言わんばかりのことを話していた。



人形としか見てないのだろう。

色々湧き上がる想いはあったが、ここから離れられることが消し去ってくれた。


これからは安心して生活できる。

また新しい人間として生きていくことに不安もありながら、無事に中学を卒業した。

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