第13話 出る杭

高専に入学してからというもの、毎日が楽しかった。

知らない環境で初めは緊張したが、友人もでき部活も始めた。


バスケ部に入部したが、私の入った高専では一番厳しいとされる部活だった。

1番上の先輩は5年生。20歳にもなる大人だ。

毎日練習に参加し、厳しいトレーニングにも耐えてきたが、どうやら一人の先輩が私に怒りを覚えていた。


調子に乗っていたという自覚はないが、練習中に蹴られる肘打ちをされた。

周りは笑っていたが、突然のことだったので私の身体は一気に硬直してしまった。


おそらくフラッシュバックしたのであろう。

その先輩が父と重なり、一気に恐怖心に襲われ、その日はそのまま部活をあとにした。


寮の部屋で初めて叫んだ。

なぜ自分がこのような目にあうのか?

怒りが抑えきれなかった。


それでも怒りが収まらない私は、机の上にあったシャーペンで自分の太ももを刺した。

何度も何度も刺した。

痛みには耐えられるのでシャーペンで刺したくらいでは何も感じなかった。


次は顔剃り用で持っていたカミソリで手首を切った。左手首のところに3本。

これで、ようやっと落ち着いた。



その一件以来、先輩からの暴力はなかったが、嫌なことがあると自分を傷つけることで落ち着いていった。


中学で地獄は終わったのではないのか?

そんなことばかり考えていたが、なぜか嫌だと思う事がよく続いていた。

それでも部活は辞めなかった。


辞めることによってまた色々言われることが気になってしまい、辞めるとは言えなかった。



そんな中、彼女ができた。

中学校の時の彼女からは遠距離なのでという理由で振られたのだが、次の彼女は2歳年上の先輩であった。


この出会いにより、私の私性活は歪んでいくのであった。


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生きずらさの向こう側 @soredemoikiru

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