第10話 キリキリ参った

カンニングはしていたがテストの点数が良かった私は、当時近くの工業高校に受験しようと考えていた。


幼馴染みの連中も近くの学校を受けると聞いていたので、高校生活も今まで通り遊ぶ流れになるもんだと思っていた。



しかし成績を重視してか、父からは家から離れた高専というところに行けと言われ、受けざるおえなかった。

そこは学校の寮に入るので、家からは出ていける、でも友人とは離れてしまう。


そのどちらかを選ぶ間もなく、当然の流れのように高専受験になった。


それからというもの、毎日言われる勉強という単語。

金を出すのがもったいないということで、塾にも通うことはできなかったので必死に勉強した。

ストレスは溜まっていき、息抜きがてら友人の家に遊びに行っていた。


友人の家の呼鈴が鳴ると、母が来ていると言われた私は、そのまま家に帰ることに。

帰ると、待っていたとばかりに父からの説教。


延々と何かを言われ、その場に立っていた私だがついに限界が来た。


突然、胃がキリキリと痛みだし、その場で吐いてしまったのだ。

それでも続く説教だったが、そんな私の状態を見てか、その日は殴られることはなかった。


さすがに参った。

自分の意思とは違う学校を受けさせられ、勉強しろと言われる毎日に、身体も悲鳴を上げていた。

まるで、自分が正しいと思ったことは子供にも当てはまるとの思いで、人形のように扱われる。


毎日考えた自殺。


辛いはとっくに通り越していた。

日々の生活の中で、自分の考えていることが徐々に変化していることに気付いた。


こうじゃなきゃいけない。

父を満足させられるようにしなきゃいけない。


私は何なのだろうか?

生きるということに希望など持つこともなかった。



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