怪獣の出現に、人々は戦々恐々としながらも強く生きなければならないのか?
- ★★★ Excellent!!!
怪獣の襲来が、人々の日常になっている世界の物語。
この世界、テーブルの湯呑みがガタガタと震えると、「地震? それとも怪獣?」なんて呟かなくてはならない時代なのだ。
スマホに、地震ならぬ、怪獣の速報がイヤでも送信されてくると、人々は災害同様に速やかに避難を開始する。
しかし、どこの世界にも、逃げ遅れる人は必ずいるわけで……。
そんな人たちの安否を確認し、尻を叩いて避難を促す、正義感に溢れた民間人も少なからずいたりする……のだが?
それは、本当に正義感からなのか?
人の心理が秀逸に描かれ、人の真意に触れた時、この世界への失望感が、見事なほどに積み上げられていく。
しかし、人とは、常に葛藤するものなのかもしれない……。そう思わせられたラストは、殊更に素敵だと感じることができるはずだ。