ぬいぐるみや人形に関する怖い話は多々ありますが、こちらは斬新な恐怖現象が起きるお話でした。この日常が理不尽に侵食されていく感覚… たまりません。
可愛いはずのぬいぐるみ。綿が詰まったぬいぐるみ。愛らしいそれに狂わされる恐怖感。怖いはずなのに目が離せず、気付けばすべてを読みきっていて……その余韻はまるで真綿で首を絞められているような感覚でした。素晴らしい表現力に情景がありありと浮かんできて背筋が震えっぱなしです。ホラー好きにはたまらない最高に冷え込む一品。是非その恐怖をご自身で堪能してみてください。
「ぬいぐるみ」という字面に騙されてはいけない。これは「縫い包み」である。縫って、包んだ物である。何を縫って包むのか?普通は綿だ、ふわふわでもふもふのワタだ。ワタを縫って包むものなんだ、騙されてはいけない。
この物語を読み始めたあなたはその身を竦ませながら、肌を粟立たせながら、次へ次へとその目で文字を追うだろう。 そして物語が終わった時、気づけば昏い酷笑を浮かべているのだ。 背筋に悪寒が走る事に快感を覚えながら、感嘆の息を吐くこと請け合いなし。
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