第9-3話 エピローグ~笠原 蒼羽の場合~
川崎は無事に自分の気持ちを伝えられた。
秀介も自分の気持ちに気付けた。
そして二人は、二つの道は交わって一つの恋路となった。
これで良い。
素晴らしい、出来過ぎたくらいのハッピーエンドだ。
それなのに、何なのだろう。
この、胸にぽっかりと穴があいたような虚しさは。
あの日。
川崎が泣いた日。
あの日から、妙に川崎の事を気にしてしまう。
もしかすると、俺も川崎に恋していたのかもしれない。
だとしても、いや、だとしたら、この感情は俺の心に秘めておこう。
二人の笑顔を奪ってまで、俺は幸せになんかなりたくない。
それに、これから先、出会いはいくらでもある。
ザッと風が吹いた。
思わず一瞬目を閉じた俺の顔に、何かが貼り付いた。
どうやら
「すみません」
まだあどけなさが残る、少女の声。
「いや、気にしないで……」
言いかけて、言葉につまった。
若草色のワンピースが目に眩しい。
肩より少し長い、やや癖のある黒髪。眼鏡越しにこちらを見つめてくる澄んだ瞳。
──出会いはいくらでもある。
そして、彼らの青春は、まだ始まったばかり。
Fin.
謎解き姫のイチゴパフェ 灯花 @Amamiya490
作家にギフトを贈る
サポーター
- 壱単位壱・いち、とよんでいただけると嬉しいです。 久しぶりの創作活動です。自分が楽しんで、皆さんも楽しませることができればほんとうに幸せです。 文章をつくるのが大好きです。 どうぞよろしくお願いいたします。 *第2回「G’sこえけん」音声化短編コンテストボイスドラマ部門優秀賞 『水無月るおんの大失態。』 https://kakuyomu.jp/works/16817330660383906089 *めちゃコミッククリエイターズ恋愛マンガ原作大賞期待賞 『炎鬼将軍の隠れパフェ〜最強武人を餌付けしたらふにゃふにゃに溶けちゃいました〜』 https://kakuyomu.jp/works/16818093077382164002
- 無名の人「愛される老人」を目指している自由人 (星の王子さまになりたかった元少年) です。 必要な人のもとへ、メッセージが届くことを願っています。
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。謎解き姫のイチゴパフェの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます