概要
私の恋人は、真紅の石になった。
亡き婚約者を想い続けて独りで生きる娘と、そんな彼女を一途に想い続ける男の、十年ごしの恋の行方。厳しい荒野で遊牧生活を送る〈荒地の民〉の生活を背景に描く、異世界ラブロマンスです。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!彼が死んで石になってから、10年もの間、私は生き続けてしまった
荒れ地の民は同胞が死したとき、火葬をおこなう。
遺灰からは、故人をしのばせる石が取り出される。
石は、遺された者の身を飾り、その人生を見守り、
ただ1度だけ、故人の生前の姿を取ってみせるのだ。
婚約者を亡くした、誇り高く美しく炎のような娘。
赤い石になってしまった愛する人への想いを抱き、
彼女は、まわりの誰とも違う孤独な生き方を選ぶ。
鼻つまみ者の彼女を見守る男が、ひとりだけいた。
静かで、流れるように美しい語り口でありながら、
真っ赤な石に象徴される烈しさや厳しさがあって、
キラキラと華やかな恋模様ではなく、力強い愛が、
彼女の生き方と再会と別れを通して描かれている。
短編ですが、と…続きを読む - ★★★ Excellent!!!永遠の愛は成長する
永遠に変わらない愛を誓う……というけれど、変わらない愛などあるのだろうか?
厳しい自然に抗って生きる部族ゆえ、伴侶を持ち、家族を増やし、助けあり、生活して行くのが常。が、ディアは逝ってしまった恋人のサーレイに、永遠の愛を誓い、一人で生きてゆくことを決めた。
その誇り高い姿に恋をして、ヤーレイは10年も彼女が愛に応えてくれるのを待ち続ける……。
一見、永遠に応えてくれない恋人を一途に思い続ける……という意味では、二人の愛は似ているのかも知れない。
でも、ディアの愛は成長せず、ヤーレイの愛は成長する。
少女が夢見る永遠の愛は、「そして姫は王子と結婚し、二人は幸せに過ごしましたとさ」であり、…続きを読む