今最も続きが気になる物語

木曜日になると誰かが死ぬ。
この世界で起きている事実は、ただそれだけである。
しかし人は、事実の背後に物語を求める。
ただ理不尽に人が死ぬ、という事態に耐えられないため、なんらかの理由付けをせずにはいられないのだ。
そして登場する「ムルムクス」という悪魔の名。
そんなものが本当にいるかわからないし、とうぜんこれを笑うものもいるのだが、しだいにムルムクスの存在が日常を侵していく。
皆が信じれば、悪魔はそこに顕現する。
我々は誰も、ムルムクスと無縁ではいられない。
ここで描かれている恐怖は、決して絵空事ではない。現実と地続きのものだ。
だからこそ、我々はこの物語に怯えつつ、続きを待たずにはいられない。

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